建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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2015年6月17日(水)18:30~21:00 九州大学大学院芸術工学研究院公開講座
建築探偵シリーズ12「世界遺産の歩き方(その1)」
「長崎居留地と天草マイスター~グラバー邸・大浦天主堂・オランダ坂を築いた天草頭領と下浦石工~」特別ゲストに生粋の下浦石工千葉友平氏ご登壇!
 

藤原恵洋先生による九州大学 前期公開講座 建築探偵シリーズその12「世界遺産の
歩き方~思想・文学・技術・映像・演劇・絵画を通した遺産即興詩人入門~」は、
早くも第三回目となりました。
 

今回は「長崎居留地と天草マイスター~グラバー邸・大浦天主堂・オランダ坂を
築いた天草頭領と下浦石工~」をテーマに、特別ゲストには熊本県天草市下浦地区
千葉平五郎石材店4代目 千葉友平氏にお越しいただきました。

藤原先生と千葉さんの掛け合いの中で、軍監島、三角西港、グラバー邸、大浦天主堂
オルト邸、リンガー邸などを手がけた下浦石工の足跡を辿り、さらに千葉さんが
一人の石工として成長される経緯や技と表現の妙味、そして世界遺産によって感じる
地域の変化などをお話いただきました。


前半は、先日ユネスコ世界遺産勧告を受けた「明治日本の産業革命遺産」の概要を
おさらいし、さらに藤原先生の数々の現地調査のスライドを元に下浦石工の足跡を
辿りました。石炭産業で栄えた三菱端島炭鉱(通称軍監島)が明治期から炭鉱都市
として整備されてゆく中で、重要な護岸工事に携わったのが下浦石工であり
下浦石が使われていました。さらに三角西港、グラバー邸、大浦天主堂、
オルト邸、リンガー邸、三菱長崎造船所の船乗り達の寄宿舎の柱などにも下浦石が
使用されており、下浦石工らの功績が伺えます。
近年も、オランダ坂の敷石は下浦石工が修復されています。

藤原先生は下浦とは一体どういう所なのか、下浦石工とは何者なのかを探るために、5年程前から本格的に下浦の調査に取りかからりました。
 
 

下浦石工の末裔達は、現在も石材店を営んでいらっしゃいます。最盛期は200件ほど
あったそうですが、現在では20件程度となっています。幕末、鍋島藩から流浪した
松島五郎左衛門によって石工の技が下浦に伝えられ、豊富な石の産地であり海運にも
恵まれていた立地条件から石工の町として栄えます。
 

藤原研究室では2011年から天草にて毎年フィールドワーク・デザインワークショップ
を開催し、国内外の大学生、大学院生、建築家、ランドスケープデザイナー、
プロダクトデザイナー、プロジェクトデザイナー、クリエイター、陶芸家らが
地元住民の方を交えて70~90人規模で開催してきました。7つのチームに分かれ、
地域固有資源を様々な切り口で活かす沢山のアイデアが生み出される中の一つに
SHIMOURA BEATというSONYのデザイナーであるチョ・ヨナさんを中心とした
チームが創った映像作品があります。この石を叩いて音を奏でているのが
千葉さんです。

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 SHIMOURA BEATチームのみなさん

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2014年下浦フィールドワーク・デザインワークショップの様子
 



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千葉さんは祖父や父の背中を見て育ち、幼少期より石工としての自覚があったと
言います。石の形を見極め、絶えず新しい表現を探る一方で、脈々と受け継がれて
きた石工の技や哲学を、地域に残る墓石、狛犬、鳥居、灯籠などを日々つぶさに
見て回ることで学び続けていらっしゃいます。先日は地元を案内するガイド役も
務められ、下浦石工の功績を次世代に伝えていくことの重要性を世界遺産としての
注目の高まりによってますます感じるようになったとお話くださいました。
 

石工の仲間たちに対する思い、石や道具にまつわるお話、そして今後の石工の
在り方について、参加者の質問にも丁寧に、説得力のある気持ちのこもった
お言葉で答えていただきました。

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道具や石の種類と特徴を解説してくださる千葉友平さん 


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その後のねぎらい懇親会へ。
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講座修了後は隣接する角打ち点、赤木へ。受講生には建築や土木に携わられてきた

方々やランドスケープデザイナーの方がいらっしゃるので、職人として共通する
心意気や、地域の空間形成に対する思いなどが語られました。


講座では、下浦石工の功績を改めて感じると共に、千葉さんという一人の石工さん
の話を通して、下浦とは一体どのような人たちなのかを伺い知る事ができました。
口述で伝承される伝統技術が、形となって長い間世の中に残る一方で、墓石に
名前が刻まれることはほとんどないと言います。また昔は大きな看板を建てる
こともなく、技に惚れ込んだ人々がこの人に仕事をしてほしい、と訪れていた。
そんな石工さんたちの、静かで確かな仕事が地域に与えてきた影響は大きく、
下浦の風土を作り、今もなお美しい景色を遺しています。千葉さんは石と
向き合うだけでなく、次世代、地域内外の人々にも働きかけを行って行く中で
下浦石工を受け継いでいきたいとおっしゃっていました。地域の歴史を、自分の
ルーツやアイデンティティとしてしっかり持たれている千葉さんの姿に
見習いたいところがたくさんありました。どうもありがとうございました。



次回の公開講座は、「黒ダイヤから白ダイヤへ~世界記憶遺産山本作兵衛炭坑画と
香春岳アート~」をテーマに、元九州国際大学学長、現田川市石炭・歴史博物館
副館長を務められる清水憲一先生に特別ゲストしてお越しいただきます。
半世紀もの間炭坑夫として石炭産業に携わった山本作兵衛が描く筑豊の姿と
2014年に藤原研究室が神戸芸術工科大学准教授、アーティスト、アートプロジェクト
プロデューサーの谷口文保先生と行った香春岳アートプロジェクト等を事例に
旧産炭地の地域再生に、芸術文化がどのような貢献をしているのかを考えます。
万障お繰り合わせの上ご参加ください。


國 盛

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