建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

旧産炭地田川の炭鉱遺産や文化資源を洞察せよ〜炭鉱都市と炭坑跡の文化遺産群、川渡り神幸祭、そして香春岳〜ブラウンフィールドを芸術・文化で再生させていく!をめぐる学府講義「芸術・文化環境論」の学外演習を実施しました。

開催日:2015.05.16(土)
開催地:福岡県田川市
案内役:金子和智さん(田川ホルモン喰楽歩)

あの世界記憶遺産で一躍世界に知られるようになった炭鉱画家山本作兵衛翁が誕生した日の奇しくも前日にあたる5月16日(土)学府授業「芸術文化環境論」の学外演習として直方、飯塚と並ぶ筑豊三都・田川にてフィールドワークを行いました。
IMG_2711

藤原研究室では長年大きな研究テーマとして地域固有資源を活かした地域再生・地域づくり・まちづくりを標榜してきました。本授業ではそうした介在が必要とされる地域を「ブラウンフィールド」としつつ、そうした地域が「クリエイティブシティ」のような新たな魅力や価値を生み出す地域へ変貌するためにはどうすれば良いのか?という大きな視点から、様々な町や村を訪れていきます。地域固有の文化資源を最大化する手法としての芸術文化の可能性を模索するための地域研究、そのためのフィールドワークを行っています。

今回は炭都・田川の採炭の歴史を博物館の常設展示や世界記憶遺産「山本作兵衛コレクション」展示を通して確認した後、約450年続く「川渡り神幸祭」を間近で堪能し、祭礼のもつ紐帯力の凄みなどを体験してきました。参加者は先生含め20名、中にはイタリア、モロッコ、フランス、中国からの留学生もおり、非常にインターナショナルな学外演習となりました。


IMG_2549


・田川市について
田川はかつて筑豊地方最大級の規模と採炭料を誇った炭鉱でした。同時に、古来より銅の採取が行われていたり、付近の香春岳からは石灰岩が採れるなど、資源に恵まれた土地でした。
もともとは農村だった地域が、石炭の発見により、他の地域からの流入もあり、住民同士の複雑な関係ができていきます。そして明治33年(1900)、三井鉱山が田川採炭組から伊田・弓削田等の坑区を買収して以来、インフラ整備と人口の増加が進み、炭都として田川は大いに発展します。石炭産業の影響は教育・文化にも及び、東京の文化がダイレクトに入ってきたといいます。有名な炭坑節が出来たのもこの地でした。しかし昭和30年代に始まるエネルギー革命の波には抗えず、三井田川鉱業所は昭和39年に閉山、そして昭和45年(1970)には全炭鉱が閉山し操業を停止しました。

現在は人口約5万人と、最盛期(1950年代)の約半分にまで減少していますが、産業構造の変革を推し進めているとのことです。また、1987年に開館した田川市石炭・歴史博物館では、炭坑(ヤマ)の実情を後世に残すため「炭鉱(ヤマ)の語り部事業」をはじめ様々な取り組みを行っています。


・山本作兵衛コレクションについて
「ヤマは消えゆく、筑豊5百24のボタ山は残る。やがて私も余生は少ない。」
飯塚出身の炭鉱夫だった山本作兵衛翁(1892〜1984)が描いた炭鉱画です。7歳から坑道に入り、明治39年(1906)には炭鉱員になった翁は一線を退き、還暦を超えてから筆を取り始めました。その作品は水彩画に詞書がなされており、のべ1000点もの作品をのこされました。2011年5月25日、福岡県田川市と福岡県立大学による共同申請で、田川市石炭・歴史博物館が所蔵する岡県指定有形民俗文化財584点を含む絵画585点と関連資料などが日本で初めて世界記憶遺産に登録されました。旧産炭地の矜持資源として今や大きな役割を果たし遂げています。
 

IMG_2690

・川渡り神幸祭について(風治八幡宮川渡り神幸祭ウェブサイトより)

福岡県田川市の「風治八幡宮 川渡り神幸祭(かわわたりじんこうさい)」は、福岡県五大祭の一つに数えられる、筑豊地区を代表するまつりです。 このまつりは、昭和45年福岡県無形民俗文化財第1号に指定されており、毎年5月の第3土曜日とその翌日の日曜日に行われます。 平成27年の川渡り神幸祭は5月16日(土)と17日(日)です。 まつりの由来は、永禄年間(1558年~1570年)、地域に疫病が流行した際、氏神である風治八幡宮にその終息を祈願し、成就のお礼として奉納されたことに始まるもので、以来今日まで450年近くも続く、歴史と伝統を誇る祭礼です。


IMG_2564
IMG_2573
田川市石炭・歴史博物館にて常設展示、山本作兵衛コレクションの鑑賞。


IMG_2584
IMG_2587

田川市石炭・歴史博物館を出ると「三井伊田町」の山車が通りがかるところでした。「三井伊田」とはそのまま伊田地域内の三井鉱業従業者、関係者のことを指すと思われます。それが今や山車の隊名として残っているというのは驚きでした。

IMG_2598
かつて飲食店が軒を連ねた通りを抜けて平成筑豊鉄道伊田線の踏切を超えて伊田商店街へ、さらに歩みを民家の間の路地を進んでいきます。祭りに出ているのか、人通りはほとんどありませんでした。
IMG_2603
IMG_2608


IMG_2634
昼食は田川ホルモン喰楽歩・田川ブランドラボ代表の金子和智さんの案内で焼き肉「幸楽苑」にてホルモン鍋を堪能。さすがのホルモン鍋奉行っぷりにみな関心しきりで、お奉行のアドバイス通りに各テーブルで調理して舌鼓を打ちました。

IMG_2662

IMG_2668

そのまま歩みを進めて風治八幡宮へ。ちょうど例大祭が終わり担ぎ手達によって神輿が担ぎ出されるところで、祇園(スサノオ)を戴いた神輿は階段を降り、鳥居をくぐり越えて行きました。担ぎ手の中には黒人の方もいらっしゃいました。そう思いあたりを見れば見れば本学の留学生以外にも観光客なのか外国人たちが少なからずいました。人混みをかき分け、迷子にならないよう彦山川の会場へ向かいます(「ここに人が居たのか!」と驚くほどに人が多く、人混みで動けていません…)。


IMG_2616

IMG_2618


IMG_2711

IMG_2725

まず風治八幡宮の御神輿が、それに続いて一番から一一番までの山笠が川に入り、練り歩きながら観客や氏子に福をもたらします。重量2〜4トン、高さ10mを超える山笠には十数本の幟(のぼり)が立てられ、赤紫緑黃白の5色のバレンが動きに合わせてしなる様子は圧巻です。

IMG_2727

IMG_2757

非常に間近で、しかも勇壮な姿を見ることの出来る祭りに、私たちは感激し通しでした。がぶり(山笠を前後に倒すこと)をする度に水しぶきが上がり、生きていく上で溜まってしまっている邪気払ってくれます。こうした動きは雄々しさの現れとしてだけでなく無病息災、五穀豊穣を祈る行為の一部でもあるのだと言えます。
IMG_2728
IMG_2810


IMG_2814

IMG_2815
最後に、昨年の谷口先生(神戸芸術工科大学・准教授)のアートプロジェクト「アートスコープ田川」のテーマともなった香春岳をながめ、フィールドワークは終了しました。

次回の学外演習は5月30日(土)大牟田・荒尾を予定しております。
今回の田川に引き続き、万田坑や大牟田市石炭産業科学館、高専ダゴ(昼食)、宮原坑といった日本の近代化を支えた産業遺産・炭鉱遺産を訪ねます。

(文責:吉峰) 

Add Comments

名前
URL
 
  絵文字
 
 
livedoor プロフィール
『日田ラボ』 最新記事
『きくけん』 最新記事
カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
記事検索
ギャラリー
  • 2017年12月16日(土)「九州大学芸術文化環境学会」を行います!15時~大橋キャンパス524教室!
  • 第7回九州大学図書館創造研究会を12月21日にこどもの本専門店「エルマー」で開催します!
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
  • 九州大学地域情報化研究会in大橋キャンパス2017.12.8(金)
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ