建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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 2015年3月15日 熊本県荒尾市 荒尾総合センター大ホールにて「世界遺産シンポ
ジウムin三池 三池炭鉱・三池港の世界遺産登録を目指して」が開催されました。
荒尾市はかつて三井三池炭鉱が栄えた場所として、福岡県大牟田市と共に急激に
成長しました。荒尾市は万田坑を中心に炭鉱都市が形成されましたが、石炭を
掘っていた期間は約50年となります。三井三池炭鉱は1997年に閉山し、もうじき
20年を迎えようとしています。「負の遺産」としての認識も高かった炭鉱遺産は
近年「明治日本の近代化産業遺産群」の構成遺産として、ユネスコ世界記憶遺産に
暫定リストとして記載されています。いよいよ世界遺産登録が期待される中
私たちは三池炭鉱の産業遺産を、どのような態度や姿勢で受け止め、活かし
伝えていくべきなのでしょうか。

この日は藤原惠洋先生の基調講演と共に、地域で活躍するパネリストの4名の方の
パネルディスカッション、記念講演に世界遺産検定最上級マイスターの
本村健太郎氏からお話をいただきました。

スケジュール
13:00〜 大牟田高等学校吹奏楽部 マーチングバンド演奏
13:15〜 万田坑 DVD上映
13:30〜 開会
13:40〜 基調講演 藤原惠洋氏 九州大学大学院教授
14:15〜 パネルディスカッション コーディネーター藤原惠洋氏
15:25〜 休憩
15:40〜 記念講演 本村健太郎氏
16:40〜 炭坑節演舞 日本民謡研究会 豊淵会
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会場では明治日本の産業革命遺産のパネル展示が行われていました。

藤原惠洋先生からは、三池の炭鉱遺産は、ユネスコ世界遺産の基準である
顕著な普遍的価値を有していると評価されていることを踏まえ、地域は次の段階を
考えていかなければならない、と指摘されました。近年世界遺産登録を果たした
富士山、富岡製糸場などの先例から、インタープリテーションの必要性を
述べられます。世界遺産は特権的な人々や専門家のみが守るのではなく、一番の
担い手は市民である。炭鉱遺産は、櫓や立坑といった上屋の保存や評価に意識が
向きがちですが、最も大切なことは地底で石炭を掘っていたということであり
それを知るためのシステムに対する理解や当事者の物語をありありと伝えていく
仕組みこそが重要です。 廃墟ではなく遺産として、包括的な価値を学び取った
市民が、仲間や来訪者に自分の言葉で臨場感たっぷりに伝えてゆくことの
重要性を述べられました。


パネルディスカッションでは、万田坑ファン倶楽部会長の瀬戸洋氏、
荒尾市観光協会会長の山代秀徳氏、大牟田市立駛馬北小学校教諭の蓮尾敏之氏、
大牟田市企画総務部総務課市史編さん室室長の山田元樹氏が登壇されました。



万田坑ファンクラブの瀬戸さんからは、資料、ジオラマ、映像、ガイドによって
立体的に見学者に伝えていくこと重要性と難しさ、そして後世へ伝えることの
役割の大切さを語っていただき、山代氏も同様に、炭鉱遺産は児童・学生に
とっても貴重な教材であることをお伝えいただきました。
蓮尾氏からは、駛馬北小学校の小学4年生〜6年生が、三池炭鉱遺産および明治日本
の産業革命遺産群を、主体的に学び、地域の人々との関わり通して理解を深め、
地域に対する愛着と誇りを醸成している過程が話されました。
山田氏は、かつて師事した荒尾市出身で古人骨の研究をされていた田中良之先生は
1986年の時点ですでに三池炭鉱が国を代表する遺産になると述べられたことから、
宮原坑を中心とした三井三池炭鉱の産業遺産を価値付けと普及を長年に渡って
行ってこられたことが語られました。 同時に、遺産はこれ以上増えることは
ないが、資料や映像、物語といった掘り起こすべきものはまだまだ沢山あると
仰いました。

後半の記念講演では、世界遺産検定最上級マイスターの本村健太郎弁護士より、
世界遺産の枠組みをクイズ形式で出題され、その後世界遺産とはどのようなものか、
その価値や重要性と同時に、危機遺産の事例や課題を、様々な事例をご紹介
いただきました。



私自身が大牟田の小中学生であった時、衰退する(あるいは閉山直後)であった
炭鉱に対する眼差しは、どこか遠く、郷土の誇りや教材としては、到底取り上げ
られるような印象はなかったように感じます。しかし、時間の経過や行政・民間
団体による保存活用、そして世界遺産という外部の評価によって、公共の財産や
物語として受け継がれる窓口が、より広く開かれようとしています。
この機会を大切に、安易な消費に傾倒しない意識と、地域住民としての誇りを持ち
多角的な角度からたくさんの宝物を見つけて還元していきたいと感じました。


國盛 

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