建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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アジアを代表する演出家・プロデューサーのシンガポーリアン、オン・ケン・セン氏による基調講演が第2部冒頭で聴講できた。

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2014年12月4日(水)午後、電気ビル共創館「みらいホール」で開催された「九州アジアメデ ィア会議」を拝聴する機会がありました。福岡市アジア文化賞 25 周年の記念事業と連携した内容で、ふ印ラボの研究にも直接関わってくるキーワード「創造都市、アジア芸術、グローバルシティ、観光とまちづくり、文化資源、市民参加、アートプロジェクト、地域再生、地域固有資源、地域魅力の最大化等」が投げられており、」じつに有意義な議論が展開したのです。


以下、同会議の主旨。

国連ハビタット福岡本部は、これまで過去8回にわたりアジア都市ジャーナリスト会 議において、居住環境に関するさまざまな意見交換を行うとともに、アジアの都市間の ネットワーク構築を図ってきました。昨年からは、九州の経済界や九州を拠点とする各 メディア機関とも連携し、ネットワークのさらなる強化を図るべく、「九州アジアメデ ィア会議」として更にパワーアップして開催しています。

第2回となる今回は、福岡市アジア文化賞 25 周年の記念事業とも連携をし、「都市づ くりにジャーナリストの視点を」を総合テーマに、次のとおり開催します。
 

日時:2014 年 12 月4日(木)12:30~18:00(12 時開場)
会場:電気ビル共創館「みらいホール」(福岡市中央区渡辺通)

開会あいさつ 国連ハビタット福岡本部 本部長 深澤良信

歓迎あいさつ 九州経済連合会 会長 麻生泰
 

第1部「観光交流と都市力強化」 基調講演

日本政府観光局 理事長 松山良一 パネリスト(アジア)
 

上海日報(中国・上海)、釜山日報(韓国・釜山)、ベトナム・ニュース・エ ージェンシー(ベトナム・ハノイ)、フィリピン・デイリー・インクワイヤラ— (フィリピン・マニラ)、コンパス(インドネシア・ジャカルタ)、カオソド紙 (タイ・バンコク)その他、からジャーナリストが参加
 

パネリスト(九州) RKB毎日放送、FBS福岡放送局、TNCテレビ西日本、TVQ九州放

送、西日本新聞社、読売新聞社、熊本日日新聞社、朝日新聞社

休憩
 

第2部「都市における芸術・文化の役割」

プレゼンター 
2010 年(第 21 回)福岡アジア文化賞芸術・文化賞受賞者オン・ケンセン

アドバイザー

日本の次世代リーダー養成塾理事・事務局長 加藤暁子 パネリスト
 

上記パネリスト 閉会 


オン・ケン・セン氏の基調講演に関する感想

「シンガポールの文化政策と国際芸術祭」と題した内容だが、わずか30分で多民族国家シンガポールが抱えるグローバルシティをめざすがゆえにアートの役割が本来のものではなく、いたって政府主導型のねじ曲げられている困難な状況に対して辛辣な発言を重ねていた。
そのうえであえて立った今年のシンガポール国際芸術祭のプロデューサーとして、これまでのシンガポール芸術祭を立て直すかのように創案されたさまざまな創造的取り組みが打たれて行ったという。
 
おそらくこの日のわずかな時間で提示されたセン氏のプレゼンテーションの本質を見極めることは相当に難しかったはず。
 
なぜならシンガポールは、一見観ると成功したグローバスシティの国家のように見えるが、じつのところ、きわめて困難な多民族国家をひとつにまとめあげていくための政策が展開しており、芸術祭や町中で展開している数多くのアートプロジェクトが多民族国家コミュニティの相互涵養の小道具としておとしめられているのではないか、およそセン氏はより本質的なアートを創出することで真の意味での創造都市づくりをめざすべきだと警鐘を鳴らしていたのではないだろうか。
 
今夏、6月から7月にかけて展開した同国際芸術祭の最もみるべきところは、先行プログラムとしてのThe O・P・E・N事業だったはず。ビデオ映像が流されたけれど、どれも感動的なシーンの連続だった。
 
O  Open
P  Participate
E  Enrich
N  Negociate 
 
この先行事業がもたらした相互理解や相互尊敬の感情形成や情緒形成はセン氏が最もめざしたものだと言える。

定量的な観客動員数やメディア紹介数等、まったくとるにたらない評価であって、真の意味での芸術祭がめざすべきは、情緒や感情や思索を導くことであると強調していた。プロデューサーの発言としてはいたって正論だが、困難な発言でもあったはず。

しかしながら、観光や温泉や屋台といった旧来の九州オリエンテッドな観点から離脱できないままの議論がぐるぐる廻る中、今日のこうしたセン氏の発言の真意は、きちんと図られることができたのかどうか。
 
こうした背景にはグローバルシティをめざしながらも、シンガポールは治安維持法を有しており、未だ芸術や文学への検閲制度をやめることができない国家でもある。シンガポールの徹底政府主導型文化政策のミッションがもたらす厳しい現実が隠されていたのではないだろうか。

あまりにも誠実なセン氏を戴いたシンガポール国際芸術祭の評価は、厳しい管理状況のさなかにある都市国家の厄介で困難な問題を克服しながらも、これからいっそう高まって行くにちがいない。
 
蛇足だが、本日、九大ふ印ラボに届いた今夏の結晶「利賀から世界へ No6」SCOTサマーシーズン2014&第1回利賀アジア芸術祭 全発言・上演記録集 に掲載された「利賀インターゼミ」公開コロキウム報告〜ポスト・グローバリゼーションと文化〜シンガポールの創造都市国家戦略を切り口に〜」において 基調報告「シンガポールの「創造都市」国家戦略」はふ印ボスが発したものである。
ここでもまたシンガポールが有する課題を批判的に指摘していったが、今日のセン氏の真摯な発言と呼応するのは決して偶然ではない。


 

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藍蟹堂

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