さる11月27日、大分県国東半島で行われた国東半島芸術祭を視察しました。
国東半島は豊後高田市、国東市、杵築市などから成り神仏習合文化発祥の地とされ
またキリシタン文化が栄えた地でもあり、異教が混じり合い共存する独特の
土壌があります。NPO法人BEPPU PROJECTの代表であり国東半島芸術祭の
プロジェクトディレクター山出淳也氏を中心に、3年間の準備を重ねて
2014年に大々的に開催された芸術祭です。
8:30 大学の公用車にて、国東半島へいざ出発!
まずはバスセンター奥にあるインフォメーションセンターにてガイドブック等を
手に入れました。「おせっ隊」さんと呼ばれるボランティアガイドの方々にも
いろいろとお話をお伺いしました。国東半島芸術祭から初めてボランティアに
参加される方や、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」の時から
参加されている方など様々です。
地域の方々の、積極的な参加が印象的でした。「おせっ隊」を始めてから
現代アートに興味を持つ事ができたことや、様々な世代の人と関われるように
なったことが嬉しいなど、魅力をたくさん語っていただきました。
まずは「真玉プロジェクト」と名付けられたTeam Lab.の作品を鑑賞しました。
国東の四季折々の草木にインスピレーションを受けたインタラクティヴアートが
空間全体を覆う作品です。
次に遠藤水城氏がキュレーターを務めたレジデンスプロジェクト「希望の原理」
を拝見。香々地町役場を会場に、様々なアーティストが場の空間性を大事に
しながらも数々の作品を仕掛けのように埋め込んでいる様子を拝見しました。
夏場、アーティストの方々は国東半島に滞在し、それぞれ素材を集めるところから
制作を始めていたそうです。
続いて国東市に移り、川俣正氏の手掛ける「岐部プロジェクト」へ。
「おせっ隊」にはなんとご高齢のおばあさまが!美味しいお蜜柑やお漬物まで
くださいました。 ここは16世紀半ばに、日本人として始めて世界へ渡航した
キリシタンであるペトロ・カスイ岐部へのオマージュとして
教会をモチーフとした新たな空間の創出がなされていました。
川俣氏独特の造形は、初期のラフな構造の面影を少し残しつつも
より建築物らしい印象となっていました。細部にまで工夫が凝らしてあり
建築とアートの領域を往来するような作品です。
旧有永邸の国見ふるさと展示館で、ペトロ・カスイ岐部の資料と石川直樹氏の
写真作品を拝見しました。
いよいよアントニー・ゴームリー氏の作品がある「千燈プロジェクト」へ。
国見町千燈は、かつてアニミズムの信仰があった場所に神道が生まれ、さらに
仏教が渡来し混じり合った場所として、国東半島の哲学や精神的土壌を象徴する
とても重要な場所です。
天台宗の六甲満山文化を開いた仁聞菩薩ゆかりの地でもあります。ここにある
ゴームリーの作品は、インドで仏教哲学を学び修行した経験もある彼が瞑想
する中で、自らの体を型取りし鉄を流し鋳造した作品が設置されていました。
ここ一帯は、六甲満山の行事「峰入り」のルートや、登山家に人気のルートが
ある場所とのこと。壮大な空間の中では約190cm、600kgを越える作品も
ごくごく小さな存在に見えます。けれども場の空気そのものを変容させ、
人々を惹き付けてやまない作品の力強さがありました。
地元のおばあさまは4回も来ていると自慢げに話して下さり
また彫刻の足元にはなんとお賽銭が!
作品の設置場所に関する課題もいろいろとあるそうですが、地域の人々には
受け入れられている一面を見る事ができました。
杵築市に移動し、公開講座でゲスト講師としてお招きしたトヨタOBの
諸星和夫氏のお宅にお邪魔しました。車のこと、ライフスタイルのことなど
様々なお話をいただき、見て来たばかりの国東半島芸術祭についても
様々な議論が交わされました。
さらに別府市に移動し、別府を代表する方々とお会いしました。
あべりあ、写真家の藤田洋三氏、建築家の坪水剛氏、BEPPU PROJECTの
アーティストさんにご挨拶し、別府とり天などをいただきました。
それから温泉に入り、福岡へ!
各地でお会いしてくださった方々、終日長距離運転をしていただいた藤原先生、
どうもありがとうございました。
とても示唆に富んだ一日となりました。
D3 國盛