建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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     「陶芸の仕事はなぜ世界中にあるのでしょう?」

 天草にある丸尾焼5代目、金澤一弘さんのこのような問いかけから授業は始まりました。手仕事を生業としている金澤さんの問いかけ、学生のみなさんにはどのように響いたのでしょうか。

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 先ほどの問いに対する答えは、

 「粘土が世界中にあるからです。器や呪詛的なものをつくることができる。
形を作る、そして、その形をとどめる。その流れの中でモノをつくるという仕事がある。」
 
「産業革命以後、工業的に生産されるようになり、安価なものが大量生産されるようになった。大量で安価につくれる。江戸時代は工芸は日常、明治以後、工芸の仕事がどんどん少なくなっている。」

金澤)「陶磁器を日常生活の中で使っている人はいますか?焼き物を作った時はどんな感じでしたか?」

(学生)思っていたものと作ったものが一致しない感じだった。
(学生)思った形、色にならなかった。
(学生)土から水分がなくなってパリパリになった。


(金澤)「モノをつくる行為は普通だった。昔の車なら修理できるが、今はブラックボックス化して、手の届かないところにいってしまった。大量生産、大量デザイン、 人件費の安いところに発注する。

「日本では修業期間が長い。作品をつくって売るという段階になると、人件費で作品への値段に差が出る。

先進国の手間のかかるものは減っていく。人件費の安いところから安い大量生産のものが入ってくると、工芸は追いやられる。」

「賃金が高いから作品も高いということになる。懐刀(子供が生まれた時に作る刀)は、120万する。鋼をたたいて装飾までする。肥後象眼にくまモンを入れたら、片面3万。工業的に成熟した社会では、工芸の立ち位置は低い、親をみているとサラリーマンがいいという。」

金澤さんは30年にわたり工芸の仕事をしてきました。36年前と今の価値観は変わっているとのことです。
 確かに、私は安くて「こ洒落た大量生産品」で日常生活は間にあっている部類に入っております。工芸的なもので持っているのは小鹿田焼きの器が1つと蕎麦ちょこ3つです。〇〇焼きにあこがれはありますが、生活に取り入れるところまではいきません。生活にもっと工芸の美があったら、きれいな生活ができるのだろうと思います。
 
 金澤)「工芸という仕事がダメになってしまうのではないか。伝統的工芸の産業を変えていかねばならない。ということで、2000年、天草の焼き物を何とかしようという話が持ち上がった。県民文化祭をきっかけに10年かけて町をまわった。地域にある固有の文化を職業的に成立させる形にしようと言うことになった。みんなが中央主義志向、地方は人口が継続的に減り続けている。天草では、伝統的・文化的資源を見直して産業に育てよう、建築。陶芸を産業として育成する可能性があるのではないかとした。天草陶石があるので、陶石の島から陶磁器の島へ。焼き物を地域の地場産業にしよう。と言うことである。」

 「福岡は人口があるから売れる、天草は10万人地域なので、努力しなくては売れない。どれくらいのバランスで地域をつくっていくのか、15年活動して、10件の窯元が35件になった。少しずつ窯元を増やしてきた。
全国的にみると、200件を超えると産地と言われる。江戸時代は士農工商があり親の仕事をついでいた。江戸になり、職業の自由がでてきた。-お父さんの仕事をつぎたい人はいますか?-いない。連鎖するものが希薄になってきた。30年後はどうなっているの?自分たちの田舎の10年後、20年後どうなっているか、
工芸の10年後、20年後どうなっているか、を考えてみてほしい。」

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 (金澤)県の伝統工芸の会長の仕事をしていて、農耕馬の蹄鉄をつくる仕事をしている人とあった。生活の中にその品を使う文化が無ければ、それは滅びる。

(金澤)「付加価値とは何か。私の手が付加価値で、私が死んだら私しか作れないものは消滅する。価値ある特別なものを特別なところに、最高のものを作ることができるかというところが要である。格別に小さい宝石のようなものをつくる。エクストラスモールの集合体を作って行く。すべての地方が小さな特別なものを作り上げていくのがこれからの姿勢であろう。下町で何かを磨いているのもエクストラスモール。今後はエクストラスモールの時代であると考えている。」

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 藤原研究室では毎年4月に新入生歓迎・牛深ハイヤ踏査をしております。これは丸尾會という金澤さんが天草で作った牛深ハイヤを踊る会に入れてもらうという形をとっております。

 そこで藤原先生から、
(藤原)丸尾會をなぜ作ったのですか?
(金澤)牛深ハイヤ節は全国のハイヤ系民謡のルーツで、阿波踊りもこれである。コミュニティの祭りをどうするか、以前は小学校や地域が祭りを担っていたがなくなった。ヨリシロとしての祭りの会、これが丸尾會です。
人間を小さなコミュニティに戻していく、共同体に戻していく、理想的な社会はピラミッド社会である。長老がいて下に若い人がいる。これは、豊かで安定的な社会、全体を若い人々が支える、ということです。

(藤原)学生はどこから取り組むべきですか?
(金澤)自分はどこから来て、生まれる前にどういうものがあって、どこにいて、どこに行こうとしているのか
、「自分が生まれたところがどういう場所で、何を使っていて、どういう営みをしてきたのか、現代と向き合って、どこに行くのか」 自分の知らないところでの興味を持って、
ちょっときになるものでも使ってみたらいい、それが教養である。」

 消費の街、福岡にいると本当に大切なものは何だったのか、どこから来て、どこに行こうとしているのか、わからなくなってしまうことがあるのかとも思います。しかし、金澤さんのお話は、自分のルーツに立ち戻らせてくれるお話でした。
                            岩   井

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