建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

. クラフト&フォークアート創造都市 利川(イチョン)

利川市は「京幾道」東南部に位置している都市として、周りに約300個の窯場が集まっている韓国の第一の焼き物村である。昔から焼き物の最大消費地であった首都の漢陽と近いし、焼き物を作るための良い土や水があったので焼き物の有名な生産地であった。しかし、16世紀後半は「文禄の役」が起こったり、「京幾道の広州」に王室用の焼き物を作るための官窯ができ、どんどん昔の名声をなくした。1960年代から、利川を中心とし、韓国の伝統陶芸技術を再現しようという動きがあって、利川に3個しかなかった工房が現在は約300個あまりに急速に増えてきた。


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1987年は「利川焼き物祝祭」をはじめ、2001年からは「京幾道世界焼き物ビエンナーレ」を行い、また2005年は「陶磁産業特区」で指定され、2007年には「韓国セラミック技術院」の分院を開院するなど焼き物生産をためのインフラを構築してきた。

その他にも利川では1998年から毎年 「利川国際彫刻シンポジウム」を開き、伝統に止まらず、現代工芸まで含む多様な領域で「クラフト都市」の都市ブレンドを作ってきた。

その結果、利川は20107月ユネスコ創造都市ネットワークのクラフト&フォークアート分野で登録された。

 


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利川の調査は韓国産業技術大学のコン先生から案内をいただいた。コン先生は九州大学芸術工学府に留学する時から藤原研究室の地域社会に貢献する現場中心の教育に感心し、今まで毎年行うフィールドワークなどに参加をしながら交流を続けているそうだ。コン先生は元々クラフト創造都市利川の出身としてお忙しところ利川の案内をしてくれた。

 

1)利川陶芸村

利川市の新屯面(シンドゥンミョン:面は韓国の地方自治団体である郡」の下部行政区域)では約300個の窯場に約700人の陶芸家が集まっている。「京幾道世界焼き物ビエンナーレ」が開ける京幾道内の三つの都市の1つとして、「広州 クァンジュ 」は王室の焼き物、 驪州 ヨジュ」は生活焼き物、「利川 イチョン」は総合焼き物の生産地として、青磁、白磁、粉青沙器などを生産している。

その中でも「沙器膜村 サギまくゴル」と呼ばれている「利川陶芸村」には工房と販売店40か所が集まって小さいアクセサリーから高価の作品まで見ることができる。

今回は「利川陶芸村」で粉青沙器を制作している 李殷九(リウング)先生の作業室を訪ねた。

李殷九先生は粉青沙器の代表的な陶窯地である忠淸南道公州市鷄龍山周りで生まれ、 広州で初めて陶作生活を始めたが、1976年独立し、現在の「利川陶芸村」で「靑坡窯」を設立した。

李先生の作品は韓国に国賓が訪ねた際や韓国の大統領が外国を訪ねる際に他国の大統領や総理にプレゼントをするほど、優れる価値を認定されている。
 

「粉青沙器(ふんせいさき)は、朝鮮半島で、李氏朝鮮時代の前半、15世紀を中心に作られた磁器の一種である。鉄分の多い陶土に肌理細かい白土釉で化粧掛けを施し、透明釉を掛けて焼造した。本来は、粉粧灰青沙器の略語。高麗時代末期の14世紀半ばに発祥し、15世紀に最盛期を迎え、16世紀前半には消滅して、その後の朝鮮王朝の磁器は李朝白磁が主体となった。(出典:ウィキペディア)」

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2)
「海剛(へガン)陶磁美術館」

海剛陶磁美術館は韓国の高麗時代以降切れてしまった高麗青磁の秘法を完成させ人間国宝であった 海剛根瀅(ユクンヒョン)先生が設立した焼き物専門美術館である。一階には陶磁文化室、記念品販売室、海剛記念室があり、2階には遺物展示室で構成されている。主な所蔵品は陶器205点、青磁405点、黒磁9点、 粉青沙器89点、白磁426点、その他50点及び焼き物関連資料を合わせ、総7,000点余りに達する。

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3)「李川セラピア」

「セラピアは韓国陶器財団が2010年に購入した約13億ウォン分の廃陶磁器などを利用し整備する陶磁の観光テーマパークで、文化施設や遊び施設、サービス施設などすべてが陶磁の造形物で作られます。「セラピア」は「セラミック」と「ユートピア」の合成語で、「陶磁でできたユートピア」を意味します。「セラピア」は観客にとっては陶磁を見て、楽しみ、学べる空間となり、陶芸家にとっては創作活動ができる総合文化施設となります。

これまで陶磁専門の美術館としてのみ使われてきた世界陶磁センターが、「セラミックス創造館」に名前を変え、利川セラピアの中心的なコンテンツとして芸術家が創作活動に専念できる創作レジデンシーや展示、工作所、教育・体験・休憩施設などを備えた総合文化施設に生まれ変わります。

セラミックス創造館の前に造成中の「サンジョン湖」は、雪峯山の美しい景色と調和してテーマパークにより一層の風情を与え、湖の前には、観客の利便性を図るため、アートショップとカフェの機能を備えた「トソンダン」と陶磁特別展示館「パビリオン」が作られます。出典:セラピアホームページ」

 


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.開港創造文化都市仁川

仁川市1883年開港された開港都市として、現在も人口約280万人が住んでいる釜山の次の港口都市である。ソウルのすぐ隣の海の方に位置され、昔から仁川とソウルをつなげる工業が発展したが、ソウルの背後都市というイメージが強い、仁川だけの固有なアイデンティティーが要求されている。

仁川市は2013年度まで「経済首都論」を挙げ、産業インフラ整備を通じた国内や海外企業の誘致に力を入れた。それで、当時に韓国の全般に広がっていた「創造都市」の政策は市より区の行政が中心になって推進されてきた。2010年に現在の南区の区長が選挙公約として仁川南区の朱安(ジュアン)メディア文化祝祭」を活かしたユネスコ創造都市メディアアートへの登録を推進した。しかし、韓国の他都市との位相が合わなかったので現在はメディアを通じた産業の発展より、住民がメディアコンテンツを創作する力量を上げるための住民に対するメディア教育により力を入れている。

2004年度に入ってから、企業誘致などの都市の外部だけではなく、都市内部で成長動力を探る他都市の影響を受け、開港時代の歴史的な文化資源を活かした「開港創造文化都市」戦略を考え始めた。

一方、仁川市は仁川市中区の開港場に残っている多国籍な都市風景や近代建物を都市開発から保存するために2010年に開港場の一帯を「歴史文化地区」として指定した。当時には歴史的な文化資源を活かした観光活性化という特徴が強かった。しかし、2014年は「歴史文化地区」を創造拠点とし、中区、東区を含む旧都心の都市再生戦略として「開港創造文化都市仁川」を目指している。

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1)近代歴史∙文化町と中華町(China Town

 「開港期において、近代文明が流入し、近代の建築物が多く建てられた建築文化遺産の集積地でもある「近代歴史∙文化タウン&チャイナタウン」は、1883年に開港され、韓国でははじめて都市計画により造成された場所である。日本や清をはじめとする各国の租界や領事館、西洋館が軒を重ね、鉄道、公園など韓国初めてあり唯一の近代歴史文化資源を確保している地域である。出典: 近代歴史∙文化タウン&チャイナタウンのリーフレット

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旧)仁川府庁ー登録文化財第249号
「1883年10月、西洋式2階木造建物から始まり、1902年庁舎を新築して、1910年以降は仁川府庁として使用した。1933年、従来の建物を壊ししん庁舎を建てた。今は中区庁として使われている。出典:近代建築観光案内リーフレット
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旧)日本58銀行仁川支店ー市指定有形文化財第19号
「仁川銭換局でつくる新貨幣と旧貨幣を交換するため日本大阪に本店を持つ58銀行が1892年7月、仁川に設立した支店だ。1946年朝興銀行が使用していたが今は仁川中区料食業組合が使っている。出典:近代建築観光案内リーフレット
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旧)日本18銀行仁川支店―市指定有形文化財第50号
「1890年10月、日本長崎に本店がある18銀行が仁川支店を開設した。1936年朝鮮式山銀行仁川支店にその業務を引き継いで、1954年10月韓国興業銀行仁川支店になった。出典:近代建築観光案内リーフレット
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旧)日本第一銀行仁川支店―市指定有形文化財第7号
「日本第一銀行釜山支店仁川出張所が1882年11月に開設された。1909年には韓国銀行に仁川支店に、1911年には朝鮮銀行仁川支店と呼ばれ、国権回復後にはまた韓国銀行仁川支店となった。今は最初史博物館を開館する予定だ。出典:近代建築観光案内リーフレット
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自由公演
1888年に建てた韓国の最初の西風の公演である。仁川開港後に外国人居留民団で管理,運営され市民たちは万国公演と呼ばれたが、その後日本の勢力が強くなった後は各国の居留地の撤廃とともに1914年は西公演で呼ばれた。朝鮮戦争の以降は仁川上陸作戦を指揮したマッカーサーの銅像ができ、自由公園と呼ばれている。
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ホンイェムン―市指定有形文化財第49号
「仁川港とその回りにあった日本租界で当時京仁鉄道チュクヒョン駅とマンソクドンなどに楽に行けるようにするため1908年つくられた。開港場の交通が便利にはなったが、日本人の住居空間が広がるきっかけとなった。出典:近代建築観光案内リーフレット
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仁川アートプラットホーム
「仁川アートプラットホームは1888年に建てられた旧)郵船株式会社(登録文化財第248号の建物及び1930〜40年に建てられた近代建造物(大韓運送倉庫、三友印刷所など)を活用して創作スタジオ、工房、ライブラリー、教育空間、ギャラリー、多目的なイベントホールなど総13個棟に達する施設を取り揃えた。
 歴史的な背景を持っている仁川アートプラットホームは、仁川国際空港と仁川国際港に接しているし、ソウルから近くて、国際的にも、国内的にも地理的に非常に重要な所に位置づいている。また、多くの近代建造物が保存している仁川の中区の「歴史文化の通り」及びチャイナタウンと接していて、この一帯を仁川を代表する文化観光地区になると期待されている。出典:仁川アートプラットホームリーフレット
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<終わりに>
今回の韓国の創造都市調査は藤原ボースと一緒に調査することになって、自分も知らなかった韓国の創造都市の状況を分かるようになりました。

30年以前から、アジアのあちこちを歩みながら、古い建造物に対する再評価を行っている藤原先生は前もってアートや歴史などの文化コンテンツの重要性を認識されていらっしゃったこと。韓国の都市もこれから都市の文脈やアートのようなソフトパワーを重視していました。

今まで韓国では都市の建造物は古くなってハードウェア的な機能が無くなったら崩したり再建築したりしたのですが約7〜8年前から韓国でも外部資金誘致を通じた再開発ではなくて内部の文化資源を活かした都市計画を行っていました。

韓国ではこのような都市再生の動きは2008年以降、世界的に行った創造都市作りの流れを受け取り、地域近代産業遺産を活かした文化芸術創作ベルト造成事業を行いました。その時期は今までの創作のための芸術家のスタジオの概念にとどまらず、複合文化空間の概念として「創造空間」という名称を使い始めたと言われています。(2013年、ソウル文化財団政策セミナ集参照)

韓国の創造都市の出発は地域よって違う出発点を持っていました。ソウルは経済政策、利川文化政策、仁川は都市政策からです。ソウルの創造拠点は東大門デザインプラザ、利川はセラピア、仁川は仁川アートプラットホームがありました。それにも関わらず、この3つの都市の共通点は今までの都市規模や産業基盤による区別ではなくて都市の文化的な特徴を強調しているということです。例えば昔のソウルは韓国の首都、仁川は韓国の第2の港口都市、利川は王様が食べるほど美味しいお米の生産地など。しかし現在はソウルはデザイン創造都市、仁川は近代開港文化都市、利川はクラフト&フォークアート創造都市で呼ばれています。

以上、約一週間の藤原ボースと韓国のソウルを中心として首都圏である利川や仁川の調査でした。

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