建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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 本日、2014年6月2日の芸術文化環境論の授業にアートボランティアプランナーの藤原旅人さんと首都大学東京の山口祥平先生とが来て、お話をしてくれました。

 藤原旅人さんから、
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 瀬戸内国際芸術祭2010

アートプロジェクトに関して、元気がない地域を元気にする事例、大島、手島、男木島のことが報告されました。

「大島はハンセン病の療養所:青松園のあるところ、病気になった人が隔離されていた。2010年の芸術祭をきっかけに島は開かれた。
 フェリーにのり、10-20名で行く。名古屋造形大学の高橋信行先生が、2008年から通って療養所の人とコミュニケーションをとり、一般の人も大島に入れるようになった。大島の道の角にスピーカーがあるが、これは、音楽や柵を頼りに療養所の人が散歩できるようにするためである。ツアーの人は、お墓や納骨堂にも行く。(石の台の写真を見て)ハンセン病の人がなくなった時に、この石台の上にのせられて解剖されて、国に報告される。人に見られないようにしていた台をみせることで、後の人にこの事実を知ってもらいたいという意味で石台を公開している。療養所利用者からは、’これまでは家族とのみのコミュニケーションだったが、他の人ともはなせるようになった。’という声があった。ここにはカフェもある。」

 「豊島(てしま)は、産業廃棄物が捨てられる島になっていたが、2010年の芸術祭が手島に誇りを回復させた。青木のえさんというアーティストは、半年通って神社の横で作品展示してもらうことが可能になった。アーティストが村に入り込むことによって、地域が再生した例といえる。また、手島キッチンは手島のおいしいものを出すということで大人気だった。海苔をつくっている工場では、自分たちの海苔が作品に使われていることがうれしいという声があり、布の作品が展示されているところもあった。残り物に福があるということで、布のエピソードを伝え合っていた。」

「男木島は、坂が多いく、自転車の替わりにオンバ(うばぐるま)が活躍しているところである。オンバを使った作品があった。島民にどんな作品がいいですかという聞き取りをしてつくった作品もあった。」

 「アーティストと住民が交流して、どういう作品ができるかが重要で、作品は歴史文脈、気候風土を反映していた。住民もアーティストとかかわることで楽しいということがある。」

 「アートプロジェクトには、ボランティアが欠かせない。人々と作品の橋渡し役がボランティアで、瀬戸内芸術祭ではボランティアが毎日何十人もいる。宿舎に泊まって、ボランティア活動をする。」

 「アートに興味のない人が、別府の芸術祭で2~3か月ボランティアをし、その後、瀬戸内芸術際でスタッフをするまでになった事例がある。ボランティアは参加することで成長するといえる。」


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 山口祥平先生(首都大学東京) 「地域を再描するアートプロジェクト」
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  以下、山口先生のお話より

 福岡市東区出身。東京では美術史の勉強をしようと思った。東京に行ってみてなんか違うことがおこっているなあ。もうちょっと中に入ってみようと思ったのがアートプロジェクトである。アーティスト川俣正さんのボランティアを探していたところ、以前、ワンクリックワーカーが喜んでアートプロジェクトに参加したということがあった。仕事を休んでまでも無給のボランティアに参加した。また、豊田の自動車工場の従業員の方が、土日に土木作業のボランティアに来る。「私にとってはこれがたのしいから来るのです」という。普段ではありえないことが起こると思った。

 研究対象は、現代美術史、アートプロジェクト、社会のあらゆる面から美術を読み解きたい。一般社団法人CIANの理事として、アートの実践をしている。

越後妻有トリエンナーレでは、川俣正のプロデューサーとして活動した。建築と美術の横断的ワーックショップもしている。アートプロジェクトは隆盛しており、大地の芸術祭越後妻有アートプロジェクトは、2009年で37万人、  2011年で49万人の人の入りがあった。

直島の地中美術館は、240分待ちの時があった。東京ではディズニーランドと同じくらいか。

愛知トリエンナーレは、2013年65万人の人々が来た。芸術祭があたると思われているが、そうではない事例もある。必ずしも多くの人が来るわけではない。
 
 アートプロジェクト隆盛の理由として、以下が考えられる。

 1)産業構造の転換、長期不況、地域経済の疲弊:新しいことをしなければという意識が強く、特に、企業の新規事業の人がアートプロジェクトに来る。新しい商品の開発に関して、客がどのような文脈で商品を買うのか、きっかけは何なのかを知りたい、アートプロジェクトはその参考になるのではないかと思ってきている。
 アートの状況が参考事例になっている。

2)人口減少:2004年から始まっている。日本全国で24万人の人口が減っている。この流れは歯止めがきかない。人口が減るということは、税金を払う人も減る。加えて高齢化である。1億の人口を切り、24%の高齢化社会となる。何もしなければ、人口は減り続けるというのが現在の状況。日本の出生率1.39 フランス2.01
社会や経済を支える人が変わるであろうし、消滅する自治体もあるという予測が出ている。今後大合併があるかもしれない。その時に’うちの町’が残るには、アートではないかと考えている傾向がある。


3)90年代はハード整備偏重であったが、同時にまちづくりなどへの市民参加が増加した。アートシーンでは、愛好者、関係者で成立していたアートであったが、新しい表現形式を求めるようになった。

 【東京アートポイント計画】について
文化のポテンションを活用していこうというもの。オリンピック2回落ちた理由は、盛り上がっていないからである。東京には何があるのか見直していこう。今ある芸術・最先端の面白いものを発信していこう。芸術のポイントがあれば人々が関わりあう。そこから文化を発信していこう。東京都の文化政策の一つで、2020年までに観光客を2倍にするのが目標である。観光を一つの産業にし、海外からビジネスを呼び込む。東京の魅力的なものを発信していこうとするプロジェクトである。

 2020年のオリンピックの為のみではなく、文化なので継続的にしていく活動、人材育成に焦点があてられるべきである。
 
アーティストはどのようにかかわるか。

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川俣正氏の東京インプログレスを紹介する。東京スカイツリーを建てる際、東京の風景に関する公共的議論の不透明さがあった。

 川俣正氏の木造インスタレーションを見て下さい。東京スカイツリーを相対化してみる、スカイツリーをちょっと違う視点、水辺をもちいて考えるということをしてみた。アートだから懐柔されない、何かを訴えかけていく、何かを問う力、問い続けることが重要である。

 学部内の狭い世界に閉じこもっていては、社会人になった時に使えない。学外の人と多く交流し、違う考え、新たな人脈を得ること、どれだけ様々な背景を持つ人々と交流するかで社会に出た時、仕事ができるかできないか決まる。
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 以上、 履修者にとっては、新たな知見を与えてくれる授業だったと思われます。

                                   岩  井

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