国立競技場:SAYONARA 思い出の聖火リレーで点火
毎日新聞 2014年05月31日 21時46分(最終更新 05月31日 22時47分)
7月から解体工事が始まる東京・国立競技場で31日、最後のイベント「SAYONARA国立競技場フォー・ザ・フューチャー」が行われた。スタンドをぎっしりと埋めた3万6116人の観客や関係者は、56年の歴史を刻んだ日本スポーツの「聖地」との別れを惜しんだ。
セレモニーでは、1964年の東京五輪開会式で上空に五つの輪を描いた航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が夕暮れの空に登場、6機で編隊飛行を行った。同五輪で日本選手団主将を務めた体操男子団体総合の金メダリスト、小野喬(たかし)さん(82)を皮切りに、88年ソウル五輪競泳男子背泳ぎ優勝の鈴木大地さん(47)ら過去の名選手たちが聖火リレーを行い、レスリング女子で五輪3連覇中の吉田沙保里選手(31)が聖火台に点火した。
ピアニストの辻井伸行さん(25)の「東京オリンピック・ファンファーレ」の演奏や、海上自衛隊東京音楽隊の三宅由佳莉さん(27)の国歌独唱もあり、歌手の谷村新司さん(65)が「昴(すばる)」、森山良子さん(66)が「今日の日はさようなら」を熱唱。イベントは50年前の五輪閉会式のように「蛍の光」の大合唱で幕を閉じた。その後はピッチが一般開放され、観客が「国立の芝生」の感触をかみしめていた。
開閉式屋根で8万人を収容する新国立競技場は来年10月に着工し、2019年3月に完成予定。同年秋のラグビー・ワールドカップ、20年東京五輪・パラリンピックの主会場となる。【滝口隆司】