建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

2014517日(土)14時〜17時半、早稲田大学大隈会館で開催された

『第2回文化情報資源政策シンポジウム

文化情報資源政策の確立を求めて②〜課題解決の方向を探る〜』
 

に参加してきました。きわめて有意義な集いでしたので、急ぎみなさまに報告します。

 

主催者である文化情報資源政策研究会は、文化資源の情報資源化することも目的に多彩な議論を1年間に渡り継続展開してきました。

大きなテーマは、文化資源に関わる情報資源の組織化をどうするのか、ということです。

研究会には、図書館、ミュージアム、文書館、関係府省、大学、民間シンクタンク、法律事務所、出版社関係者等、多彩な参加者が名を連ねています。
今回のシンポジウムは1年に1回開催されているものですが、昨年開催され、今年が第2回目になります。
第1回目は文化資源の情報資源化に関する課題の抽出に焦点をあて、今回はその課題解決に向けた実践的な議論が行われました。

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シンポジウムの基調講演は昨年より就任された青柳正䂓文化庁長官。
世界に冠たる古代ポンペイ考古学者として知られていますが、かつて東京大学大学院に文化資源講座を創出された立役者でもあり、昨年まで国立西洋美術館館長もつとめられていました。
 

この壇上、青柳長官は「文化の保存保護は社会が成熟し、文化財そのものが急速に増大した。これまでは日本の文化財の保存は委員会が文化財を指定する指定主義だった。しかし、これからは増加する文化財の傾向と、国・地方自治体の保存保護に対する予算の急速な減少を考えると、ヨーロッパのようなカタログ形式(文化財を全体的に把握した状況で優先的に保存保護を必要とする文化財に処置をとる方法)を取る必要に迫られている。このカタログを作成するには文化財の情報資源化が必要であるし、また保存保護を必要とする文化財の社会的認知の確立(文化財マインド)のためにも文化財及び文化資源の情報資源化は急務である」と述べられました。
また東日本大震災
3.11の経験から民間(地方のNPO)の役割も増加してきており、官民のネットワークを作成することも文化の保存保護を考えたときに急務であると指摘されました。

 

後半は、各地からの実践的処方を加えたパネルディスカッション。
まず北九州副市長であり、これまで総務省で地方自治制度の企画立案に携わってきた藤原通孝さんが、実際の政策実現のプロセスについて、これまで現場で培ってきた現場の実態を踏まえながら説明が行われました。

また著作権に精通している有名な弁護士の福井健策氏を中心にしたデジタル文化遺産推進議連では、アーカイブ化に向けた法案の作成が行われており、これまで15項目の法案が作成されたとのこと。福井氏はこの法案を「(デジタルアーカイブ振興法(仮)として、を少なくても来年までには政策実現のプロセスにのせたい、と提起されています。
またこの法制度案を中心に、パネルディスカッションでは、ヨーロピアナ(
EU諸国のデジタルアーカイブ)やアメリカのDPLAと日本のデジタルアーカイブとの相互活用や、孤児著作物について、また公文書(業務記録)の情報公開の際の個人情報等の問題に対する対処の仕方等を含め議論されました。
 

後半はフロアも含めて、文化資源の情報資源化に向けた具体的な動きに関する議論が行われました。
その中で、技術者とどのように連携をとるか、情報資源化の重要性をどのように訴えていくか、ビジネスパートナーをどのように巻き込んで行くか、などの論点から熱心な議論が行われました。

最後のまとめとして、数多く指摘された課題に対する解決案として、実際の施設としてのナショナルアーカイブ構想や、デジタルアーカイブ振興法が必要ではないか、との提案が挙げられました。
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ところで去年、東京大学で開催された文化政策学会では、福井氏をお招きしてEUとアメリカと日本との著作権の法律の関係や、欧州連合のデジタルアーカイブであるヨーロピアナのお話を中心に学会全体で議論が行われたことを思い出しました。
 

また私(藤原旅人特派員)が研究対象としてきたアートプロジェクト領域においても、最近は、アートプロジェク内の活動をどのように整理しまとめて次の企画者や活動者たちが活用して行くのか、といったアーカイブ化に対する議論が盛んに行われています。
ふ印ラボ(九州大学大学院芸術工学研究院藤原惠洋研究室)の博士課程に在籍する佐藤忠文氏も、熊本県菊池市のまちづくり活動を対象に地域で発掘されてきた文化資源をどのようにアーカイブ化していくべきか、地域活動のネットワーク化をどのように進めていけばいいのか、こうした基盤となる地域情報をどのように溜めて活かせるようにしていくのか、といった観点から極めて実践的な博士研究を進めています。
 

さて近づく東京オリンピックが開催される2020年までには、このようなアーカイブ化やネットワーク化といった文化の情報資源化に関する議論が全国的にますます盛んになってくることと思います。アートやアートプロジェクトに係っていく人材にとって、こうした資料や文化資産をどのように利用しやすい者として行くのか、共通する議論が必要となっていることをまじまじと感じたシンポジウムでした。
 

 

(文責:藤原旅人)

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