建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
みなさまはじめまして、本年度から藤原研究室に所属しております修士1年 吉峰です。

さる4/29(火・祝)、学部および大学院の授業「芸術文化環境論」の第1回目の学外演習として福岡市内の美術館めぐりを行いました。
まずは概要を説明すると、この学外演習は毎年4月の終わりに行なっています。授業全体の大きなテーマは芸術文化と私達の生活や地域・都市社会の環境との関わりを考えるというものです。
今回は(今回も?)「私達の生活に美術館はなぜ必要か?」という問いを藤原先生が投げかけられました。この質問に対して学生が美術館をめぐり、様々なことを見聴きすることで自分なりの答えを見出すという演習です。

各美術館では学芸員の方の講義を受け、ボランティアガイドの方々に展示室を案内してもらいます。
例年は福岡市美術館→福岡県立美術館→福岡アジア美術館の順でめぐるのですが、今回は残念ながら福岡県立美術館が改修工事中のため、福岡市美術館→都市部のギャラリー・アートスペース→福岡アジア美術館の順でめぐることになりました。

朝9:30に福岡市美術館に集合し、鬼本学芸員によるレクチャーをを受けました。
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講義の様子。

講義では福岡市美術館の概要と事前に設定された4つの質問についての説明がありました。
4つの質問は以下のとおり。
①社会的使命(ミッション)はなにか
②コレクションの特徴はどのようなものか
③企画・管理運営の特徴はどのようなものか
④教育普及活動(アウトリーチ)の特徴はどのようなものか

これらを学ぶことが最初の問いについて思考を巡らすヒントになるのですね。

講義の後は小グループに分かれてボランティアガイドの方々に展示室を案内して頂きました。
このギャラリーツアーでは3つの作品を取り上げて自由に鑑賞しました。作品を目の前にして様々な意見を交わし合えるように、ボランティアガイドの方が質問を投げかけて下さいます。

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ギャラリーツアーの様子(何やら銅像の足元に注目しているようです…!)

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ギャラリーツアーの様子(美術館の床に座り込んで鑑賞できるなんて滅多にない経験ですよね〜)

ギャラリーツアーも終わり、福岡市美術館を後にしました。
続いて向かうのは”都市部のギャラリー・アートスペース”です。福岡で都市部といえば天神界隈のことですね。「天神界隈にギャラリーやアートスペースなんてあるのかな?」と思われるかもしれませんが、調べてみると結構あるものです。
この時間は各自自由行動でしたので私はギャラリー風、三菱地所アルティアム、福岡市文学館の3箇所へ行きました。
ギャラリー風はオーナーの方が九州芸術工科大の第1期生だそうで、どんたくフェアで賑わう新天町商店街の中にありました。 
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1階では個展が、2階ではグループ展が開催されていました。
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美術作品や概念を公共財として扱う美術館とは異なり、個人の表現を自由に展示できる商業ギャラリーで
の交流は美術の別の一面を見ることのできる良い機会になりました。

美術館は調査研究、保存収集(場合によっては修復も)、展示、教育普及を行なう機関ですが、ギャラリー・画廊はごく簡単に言ってしまうと、作家の表現に共感し作品を購入してくれる人と作品をつなげる場です。ギャラリーに行けば、美術は美術館に収められているものだけではなく実は私達でも購入し所有できるものなだということが実感できるでしょう。また展示作品が美術と言えるなら自分が表現したものも美術かもしれないと思うことにもなるかもしれません。
一方で美術館の予算は公立の場合、税金です。市民の税金を使って作品購入をしています。美術館に全く通わない方やそもそも美術館は必要ないと思われている方は憤慨されることでしょうね。自分の気に入らない作品が展示されていたら思わず叫んでしまうかもしれません。「私の税金が!!」と。

ついつい脱線してしまいましたが、続いて向かったのはこちら、三菱地所アルティアムです。西鉄天神駅から徒歩2分ほどのところにあるイムズというファッションビルの8階にあります。
現在は《藤森照信建築と「鸛庵」》展が開催中です。

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三菱地所アルティアム 外観


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鸛庵

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藤森照信先生とローランド・ハーゲンバーグさん

藤森照信先生は我らが藤原惠洋先生の兄弟子にあたられる方です。
この展覧会は藤森照信先生がオーストリアはランディング村に造られた「鸛庵」とこれまでの作品の模型などを展示しています。この「鸛庵」はローランド・ハーゲンバーグさんのランディング・プロジェクトの一環として建てられたもので、他にも原広司、伊東豊雄などの日本人建築家がプロジェクトに参加されたようです。詳しくはHPをご覧になるか実際に足を運んでみてくださいね。

藤森照信先生の建築は他の現代建築と違い、暖かみや素朴さ、住居らしさが感じられて非常に良かったです。私も一度レジデンス(滞在)してみたいなぁ。

三菱地所アルティアムを後にし、私は福岡市文学館へ向かいました。
ここは美術館ではなく文学館ですが数年前の改修の際、藤原惠洋先生が1階資料室のデザインをなさったということで、訪ねてみました。
…ですが、その展示室は資料があるということで残念ながら写真を撮ることが出来ず終いでした。

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福岡市文学館(元旧日本生命株式会社九州支店)の外観。

そして最後に福岡アジア美術館へお邪魔しました。
まずはじめに小グループに分かれてボランティアガイドにギャラリーツアーをして頂きました。
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ギャラリーツアーの様子。
福岡市美術館とは全く異なるコレクションに興味津々です。
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作品を目の前にして様々な意見を交わし合えるように、ボランティアガイドの方が質問を投げかけて下さいます。

その後、松浦学芸員によるレクチャーを受けました。
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レクチャーでは4つの質問もさることながら、福岡アジア美術館の設置者の変更による美術館が受ける影響についてなど、現場の声を生で聞くことが出来ました。私は大学の学部の頃に生涯学習概論という授業で首長の政策によって教育委員会の方針が変わらざるを得ず様々な問題が起きる…というようなことを学んだのですが、福岡でまさにそんなことが起きていたとはとハッとさせられました。

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松浦学芸員と藤原惠洋先生
 
今回の学外演習で美術館と社会の関わりを改めて意識出来ました。
「美術館はなぜ必要か」という質問に対して私なりの結論を出すとすれば―

美術館は美術作品を調査研究、保存収集、展示、教育普及を行なう機関であり、後世に価値を伝えていくためにあるという教科書通りの答えだけでは満足出来ません。

美術館にある作品はすべて自分の好みに沿うものではありません。嫌悪し、思わず目を覆いたくなるような作品に出会うことだってあります。それらは自分とは異なる文化や歴史を背負っています。それを否定するも肯定するも個人の自由です。

しかし同時に自分とは異なる価値観や文化、未知のものと出会い、美術作品を通して今いる人とだけでなく過去の人とすら対話が出来る場が美術館だと私は考えます。人はその対話、コミュニケーションとも言えますが、を通して成長できるのではないでしょうか。この意味で美術館は人が成長するきっかけを与えてくれる場所なのだと言えます。

美術館は私が、あなたが成長するために必要なのではないでしょうか。

(文責:吉峰拡)
 

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