建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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  2014年3月28日(金)北九州市戸畑区にある戸畑図書館が再オープンしました。
    写真の建物はその図書館です。

   ここは1933年に旧戸畑市役所として建設され、1963年旧五市対等合併により新たな北九州市が発足した際、その初代本庁として利用されたものです。その後も区役所として利用されてきましたが、2007年に戸畑区役所としての新庁舎が完成・移転後は空いていました。
 そして、向かい側にある戸畑図書館が老朽化したため、この旧区役所を図書館に用途変更することとなり、リファイニング建築で定評のある青木茂建築工房がその建築設計および設計監理を担うこととなりました。
 長年、役所として使われている間に別棟の増築や室内議場の増床などにより複雑に変更されていたとのことです。また、この建物は構造図や構造計算書がなく、青木建築工房では3度にわたる躯体調査をしましたが、工事着手後、全てをスケルトン状態にした躯体の状況は想定以上に悪く、漆喰やモルタルをコンクリート面から撤去する際、躯体ごと壊れてしまうほどの箇所もあり、補修作業に時間と費用を投入したとのことです。

 ↓「旧戸畑区役所庁舎図書館活用耐震改修工事」について講演をする建築家の青木茂先生。
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↓階段状になっている部分が2006年隈研吾建築都市設計事務所の設計した戸畑区役所庁舎。この階段状の座席から反対側にある広場で行われる戸畑祇園大山笠を見ることができるそうです。
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↓戸畑区役所からの眺め。目の前の広場では毎年7月の第4土曜日に戸畑祇園大山笠競演会が開催されます。
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  ↓以前の戸畑図書館。
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 ↓区役所から見た戸畑図書館。地下1階、地上3階、塔屋3階、鉄筋コンクリート造の帝冠様式の建物。延床面積2889.66㎡。以前は独立基礎であったが、ベタ基礎とし、また、増築部撤去、吹き抜けを設けた。
 過程としては、1)減築による当初建物への復元 2)解体による軽量化/躯体補修/中性化対策 3)耐震補強 4)新規外装
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↓1933年に竣工した帝冠様式の外観を活かすため補強材を外部に設けないこととし、既存の躯体が脆弱なことからアーチフレーム補強をすることにし、力が加わらない部分には円形の穴をあけることで、アールデコやアールヌーボーの意匠を彷彿とさせ、この建物が持つ歴史にヨーロッパの建築様式との融合を図ったとのことです。
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 ↓補強材がコントラストのある彩色。
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 ↑の写真の奥には↓のような対面朗読の部屋があった。
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 ↓以下4枚は青木先生の講演会の時に配られた資料より
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 ↓連続性を表現するため、2階の閲覧室の一つの両サイドに鏡を向かい合わせに配置したとのことでした。DSC00555
↑↓ 合わせ鏡で連続性を表現。
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 ↓2階の合わせ鏡が設置されている空間には小説が並ぶ。
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 ↓照明は東京スカイツリーの外観を手掛けたシリウスライティングオフィス。
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 この図書館は1階には子ども図書室、セミナー室、視聴覚室、郷土資料室、宗左近記念室、地域学習室、新聞閲覧室、カフェ、ギャラリーとしても使用できる休憩コーナーがあり、2階に一般向けの図書や雑誌がある。階段の他にエレベーターもある。1階に子どもやカフェという声や音を出す人・物事を集約させ、2階に図書を集めたことで、様々な利用者が気兼ねなく利用できるのではないかと思われた。
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 ↓1Fお話の部屋
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 ↓1F子ども図書室
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 ↓1F地域学習室。
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 ↓視聴覚資料がたくさんある1F。
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 ↓1F郷土資料室
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 ↓1Fカフェテリア
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 ↓ギャラリーにも使える休憩コーナー。
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 ↓1Fサービスカウンター
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 ↓2F吹き抜け 奥の書棚には美術書やコミックス、文庫があった。検索機は3台。
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 インターネットができるPCが3台。↓
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 ↓2F雑誌コーナーには約50タイトルの雑誌がある。
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 ↓設備に関しては地域の工業地帯のイメージを踏襲して設備配管を露出にしたとのことです。DSC00562
 ↓この建物には断熱材が施され、断熱性能を高めるとともに、ランニングコストの低減が、また、吹き抜けとトップライトを設けることで置換換気を促し、室内の温熱環境の向上を図っているとのこと。トップライトは温熱環境の改善のみならず、照明電力の削減にも寄与しているとのことでした。
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 築80年の建物を再生させ図書館にした事例を見たのは初めてですが、補強材があれほどあっても重苦しい印象はなく、大変美しかったです。補強材に地域性を意味づけることができるなんて初めて知りました。80年前の建物だと暗いのではないか、断熱材が入っておらず冬は寒いのではないかと思っておりましたが、断熱も採光も十分で、室内の彩色も落ち着いて清潔感がありました。加えて、コーヒーを飲んだり、お弁当や軽食が販売されているカフェがあるので、滞在型図書館として利用されていくように思われました。
 地域に80年前からあるその地域を代表する建物に更に製鉄の歴史という地域性を加え、長持ちする建築がなされた図書館がつくられ、再オープンしました。この地域の歴史や文化を担って地域のみなさんに使われて行くと思います。戸畑の図書館は指定管理者によって運営されております。今後は運営側と市民がどれだけ協働して図書館を市民の文化や学習の中核として使いこんでいくのかに注目したいと思います。
 
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 外には休んだり食事をとったりできる場所がある。手前にあるのは戸畑を3度訪れたことがある若山牧水の歌碑。
                    
                                     岩 井







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