建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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2014
年2月9日、世界遺産候補「三角西港」の集会所において「三角のまちのくらしを考える」三角西港市民ワークショップ第2回が開催されました!
この日の関東地方は大雪で覆われたものの、私たちの九州は晴天でした。
私はふ印ラボの同人でもあるエスティ環境設計研究所所長の徳永哲さん、さらには熊本大学の田中尚人先生に誘われて、熊本県・宇城市三角西港へ行くこととなりました。

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三角西港の市民の方々と市役所の関心を持っている職員の方々が一緒になって、近い将来に「明治日本の産業革命遺産」の中の重要な構成資産として世界遺産になっていく可能性の高い「三角西港」の今後の保存管理運営を一緒になって考えよう、と市民ワークショップが開催されました。


今回参加したワークショップシリーズは、世界文化遺産登録、国重要文化的景観選定を目指す三角西港及び三角地域において、今後どのようなまちづくりが必要となるのか、地元のみなさんと行政、専門家が一緒に考えていく場として設けられたものです。

 まず冒頭、講師の熊本大学田中尚人先生が「第1回ワークショップ(
角のまちの○と×)を振り返る」に現場の参加者を説明してくれました。

  
1回ワークショップ「三角のまちの○と×」
2013121日に三角西港集会場で開催されまものです。三角のまちを取り巻く様々な動きについて、地域のみなさんが理解・納得し、地域の未来を組み立てていく趣旨を基づき、参加者の意見交換(三角西港のまちの良いところ、今は良くないところ・残念なところ)を行いながら、三角のまちの現状について理解を深めました。
 


今回のワークショップは第1回ワークショップ「三角のまちの○と×」を発展させるものです。その時出された多くの意見をもとに「JK法」でまとめて出した「○と×10項ずつ、各テーブルのメンバーは「○と×」各10項について意見交換を行っていき、「三角のまちの○と×」に対してシール投票をする、というものです。

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  参加者のみなさんは、こうしたワークショップでの議論や検討をむずかしく考えるより、和気あいあいと楽しみながら仲良く話し合ってみようと工夫をしました。地元住民の発案で、美味しくて甘い「ぜんざい」を食べながらやってみよう、ということになりました。おかげで会場はとても温かい雰囲気になり、知恵やウィットに溢れた意見が活発に次々と発されていきました。
 参加者の中には地元住民のみならず、熊本大学の学生、市役所の職員のみなさんも含まれており、日頃はお互いに異質な者同士がここで出会い刺激し合って、ある意味で多彩なブレーンストーミングを同時展開するようなユニークなアイデア合戦の様相となりました。
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 田中先生がファシリテーター役をつとめながら、参加者が一同に投票の結果を検討していきます。その結果、「良いところ」ベスト3と「良くないところ・残念なところ」ワスト3を選び出すことができました。

ベスト3:自然が豊か海も山も、海の匂い空気が良い、地元を誇りに思っている。

ワスト3:空き家が増えた、買い物が不便、若い人少なくなった。

ここから意見交換は次のステップへ展開して行きます。

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○と×にするために」、「(二重○)にするために」の課題に対して、各班は自由にベスト3とワスト3を選び、提案を行いました。

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1班は「若者を増えるために、若者を誘って地元の住民と一緒に食事しながら、三角西港の良さを話しかける。若者はFacebookなどの電子メディアを通して発信する」と提案しました。

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2班は「三角西港の景観をもっと良くなるため、展望台周辺の環境を整備する。また、全国会議の開催会場を招致し、全国の人を集めて三角西港の景観を満喫してから発信する」と提案しました。

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3班が「空き家が増えた」に対する問題は、「空き家利活用制度を作ってみんなに説明し、リフォームする際、三角西港の景観に合わせてやる。アーティストレジデンスを通してアーティストは空き家に住みながら、作品を作り出して三角西港に関する物事を発信する」と提案しました。

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4班が「空き家が増えた」に対する問題は、「全体活性化するために、まちの空き家調査とデタベース設立。また、予算がないため、学生さんを呼んで地元住民と一緒に修復仕事をやる」と提案しました。

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最後にまとめを通して田中先生は、各班から出されたユニークな提案を次々と称賛していきます。
 その結果、回を重ねるごとに地元住民との意見交換や提案が内容を充実させており、そこから重大な問題も見えてきた、今後は地元住民と市役所の方々が一緒に協働し合って問題に対して解決する必要がある、さらには一緒になって三角西港らしいイメージとブランドも作り出していきましょう、と声援をコメントしました。IMG_1880

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私の研究テーマでもある市民参加を取り込んだ遺産マネジメントの手法開拓に強い関心を持って参加したのですが、今回のワークショップに参加してとても勉強になりました。
 今後、三角西港が世界遺産に登録され、あるいは重要文化的景観に選定される中、文化財保護があるかどうかは別にして、現地住民のみなさんの「三角西港のくらし」は三角西港に対して何が「必要」か?また何が「大切」なことなのか、常に考えていかねばならないこととなります。
 今回のワークショップでの議論をひとつのチャンスとして、住民の方々が自らの参画でこの課題に対する活動を生み出し、多くの仲間達や応援団を育てていくことで、自分たちが生活している土地に対する誇りを高めていくことができる取り組みになっていくのではないでしょうか。


BY D1 柯勝釗

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