建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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10月15日(火)1900〜九州大学第一回公開講座が開講しました。

建築、土木、創造都市、フェスティバルなどを取り上げてきた藤原先生に
よる公開講座ですが、今回は20世紀に花開き、世界を席巻した欧州デザインへの
探検を行います。

 

デザインという人類の知恵と思考と方法論は人類の誕生とともに導きだされた
ものですが、19世紀から20世紀初頭の産業革命以降、旧来の生活と環境を
大きく変えたばかりでなく、社会改革や地球環境改善へ挑戦していきます。

 本講座では、こうした20世紀デザインへの理解を目的とし、わが国を代表する
コレクター永井敬二氏の協力を得ながら世界に先駆的かつ挑発的なデザイン
事例を紹介、豊かなライフスタイル創造へのシナリオを総合的に習得していきます。
そのうえで意欲的な受講生には、冬期に実施する現地踏査への参加を許可する
場合もあります。

 

ゲスト講師には、なんと世界有数の椅子コレクターで有名な永井敬二先生に
お越しいただき、ご出講いただきます。

ドイツバウハウス、デンマークのデザイン、フィンランドのデザインといった
人々の生活を豊かにするためのデザインを、永井先生と共に振り返っていきます。


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ー以下永井先生のお話よりー 

21世紀のデザインは、経済性重視の消費優先、競争社会、スピード化、大量生産と
いった時流に強く影響されている。目を引きたいだけの安易なデザインであったり
使い勝手や質の向上というよりも、とにかく供給に間に合わせるための生産などが
目立つ、その製品を使う事が果たして本当の生活の豊かさと言えるのか。
 

 昨今は会社自体を売買するといった動きが出ているので、ネフ社、カッシーナ
など同じデザインの製品も違う会社によって作られているものがある。
現在はミュージアムグッズとしても販売されているが、大量生産化してしまって
おり、質の低下は否めない。

 

例えば、僕は「振り箸」というものに感銘を受けて、作ってもらったことがある。
振り箸は筒状の棒二本を振ると、箸の先端がシュッと出てきて、ピタッと
止まって箸になる、昔のマイ箸のようなもの。けれどそれを作ってもらった
ところで、桐箱に入って届けられた。桐箱では持ち運べないし、布の巾着では
食後の箸をしまいたくないし、竹で編んだ容器が一番いい。そういうところを
一括して作ってもらう生産ラインというのが、昔はあったはずなのに
今は孤立してしまっている。

 

バウハウスは100年程まえに出来た学校だが、そこから生まれたプロダクトは
美しく、計算され、質も妥協することなく作られている。それらを使う
使いこなすことによって生活に丁寧さが生まれ、自らの暮らしを楽しいものに
赴き深いものにすると思う。

 

 美術館やギャラリーには展示してあるが、使うことによって初めてその
プロダクトの価値を知ることができる。例えば同じデザインの椅子でも
キャンバス(帆布)仕様と革張りのものがある。見た目の高級感と洗練は革張り
の方に目が行きがちであるが、実際座るとなると、キャンバス仕様の方が
おしりにフィットして座る場所が決まる、など。

 

自分はコレクションする動機が「見たい・知りたい・聞きたい」という
欲求から成り立っている。雑誌で見たり、人から聞いたりしたら
本物を見たい、もっと知りたい、もっと聞きたい、ということで、そうなると
何処へでも付いていく。だから製品を持つ人の暮らしや思い出、物語といった
話もあるし、本物を目にしたり、譲ってもらったりすることもある。
壊れてしまったら、職人さんに相談して修理してもらったり周りの人は
迷惑を被っているかもしれないけれど。笑

 

永井先生のお話は、自らのご体験をもとにありありとお話をされるので
受講生一同わくわくしながら聞き入ってしまいました。

休憩の時間には、永井先生のコレクションの一部をご持参いただいたので
思い思いに触れ、座ったりと、モダンデザインの真髄に、少し触れる
ことができました。

 

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このチェス駒は、バウハウス・ワイマール校で石彫および木彫工房のマイスター
(親方)をしていたジョセフ・ハートヴィグが、1923年にデザインしたもの。
立方体・球・円筒といった幾何学的な形を結びつけ従来のチェス駒を踏襲した
造形を見せている。

 
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このポットは のデザインによるもの。同形で白色の製品もあり
モノトーンというミニマムな色彩ゆえに豊かな造形美が映えます。

 カッシーナ社による生地のサンプルも随分コレクションなさっています。
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次回以降は

10月29日(火)午後7時~9時 デンマークのデザイン

11月12日(火)午後7時~9時 フィンランドのデザイン

11月26日(火)午後7時~9時 ドイツのデザイン の講義に、
永井先生にゲストとしてお越しいただき、

12月10日(火)欧州20世紀デザインのまとめ を藤原先生より講義いただきます。

 

昨今、多くの人々にとって鑑賞の対象として限定されがちな20世紀デザインは
この講義によってより多角的で思慮深い、新たな発見が多くもたらされる
ことでしょう。次回も楽しみです。

 

 D3  國盛

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