建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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2013年10月16日、台風26号の影響で、関東地方は大変そうでした。

九州地方も風が強く吹き、小雨も降っていましたが、藤原研究室では藤原先生をはじめ、そのメンバーのひとり、柯は大分県玖珠町という町に現地調査に行きました。

今回の目的は登録文化財旧豊後森機関庫と旧豊後森機関庫転車台です。機関庫というのは蒸気機関車の車庫、転車台は蒸気機関車の方向転換するのに使用されるものです。

2009年度、2月6日に「旧豊後森機関区の関連遺産」として扇形機関庫と転車台が近代化産業遺産に認定されました。そして、2012年には、国の登録有形文化財として登録されました。
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今回の現地調査では、幾つか隠された箇所を発見しましたが、それは現場のみんなを喜ばせ、またたいへん良い勉強になりました。

さて、どんな秘密が発見されていたのでしょうか? まるでインディ・ジョーンズのような藤原先生の足どりに、さっそくついて行こう!DSCN6075

1・柱の地下の状態はいったいどんな様子だったのでしょうか。
この建物はまず現行の建築基準法の下で今後の保存再整備と活用を進めていくことになるため耐震調査をする必要があります。その後、耐震補強をしていくことになります。そのために現場調査をする必要が生まれました。
柱は重大なポイントです。
これまで基礎周りがどうなっているのか、誰も知りません。
このたび、はじめて藤原研究室の指導により検討がなされることになりました。
この日の早朝、福岡の大学から現場にたどり着くと、早速、関係の方々現場での作業を開始されています。藤原先生が以前に指示した箇所を重機を持ち込んでじっくりと掘っていました。
藤原先生は現場にたどり着くやいなや観察した後、もう少し深く掘ってみましょう、と指示を出します。どうも考えがある様子。手元のノートにこうなっているのではないか、と仮想スケッチを描き出します。
さらに掘ってみると、なんと驚くような光景が現れたのです。
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私は驚きました。興奮しました。
次の写真を見てください。
柱の最下部の突き当たりに立方体の基盤が付いています。両脇もコンクリートの構造物が伸び、左右の柱とつながっています。これは建築専門世界では、繋ぎ梁、という仕掛けです。藤原先生は、おそらくこの繋ぎ梁が隠されているのではないか、と予想を立てていたのです。
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今後の耐震補強を考えた場合、この隠された箇所の構造はとても重要です。その特徴からすると、ある程度、全体の建物を支えるための構造に役立ちそうです。
耐震補強の構想とその方法も、さらに進んで行うことができるだろうと思われ、現場の関係者もこれは活用できる可能性が増えてきた、と大喜びでした。


2・廃棄されたレールの前端のコンクリート台はどんな秘密が隠されていたか?

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以下の写真をよく見てください。
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ほら、ミニ階段が出てきました。信じられないでしょう。

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この階段は蒸気機関車が入った後に、作業員が機関車の下から車両の様子を点検したり、修理するのに降りていく階段で、ピットと称します。
(P.S:こんなところも気付いたとは、さすが藤原・ジョーンズ!)


3・鋼鉄製レールもロールマーク=コード(code)が隠されていました。
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現場で、一見普通の鋼鉄製レールに藤原先生がライトを当てていたら、一列のロールマーク=コード(code)が鋼鉄製レールに打たれていることがわかりました。

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何これ?  みなさん、興味があったら、ちょっと調べてみたらいかがでしょう。


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先生のことばです。

~私は「足思手考」という言葉がとても好きです。そこから未知のフィールドが何よりの学びの現場になるのです〜
この度の現地調査研究を通して、私はさらに体験することができました。
現場での驚きや発見は現地調査の醍醐味です。
一回一回の経験を積み重ねたあなたもまた、将来のインディ・ジョーンズになっていけるにちがいありません。

BY D1 柯勝釗

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