ふ印先生が主宰する九大芸術工学府「芸術・文化環境論」のグループ成果発表がありました。
授業は講義・演習形式で進められてきました。
講義全体を貫くテーマは、「ブラウンフィールドからクリエイティブシティへ」です。
ここでいうブラウンフィールドは、土壌汚染された土地だけを指し示すものではなく、時代の推移や産業構造の変化の中で打ち捨てられてしまった場所や見捨てられた空間を指します。
例えば、かつての港湾地帯、工場地帯、交通機関が必要とした空間や場所、生産労働者が従事した場所や棲息した社宅地、石炭採掘地や炭鉱住宅、といった場所から、人の来ない場所、空家群、高架の下などまで幅広く指します。したがって、受講生はこうしたダイナミックな転換に成功した事例や取り組み事例を世界に求めながら創造都市の成立や社会的背景を知ることとなります。そのうえで、自分たちにとって身近な場所や空間を思い返しながら、ブラウンフィールドとはどこにもで潜んでいるのではないか、と考えを進めて行くことに成ります。
講義の後半は演習となりました。そうした事例検証をグループワークで進めていくこととなりますが、まず、この授業におけるブラウンフィールドの設定と具体的な場所の選定というのが難しいです。
今回の発表はB班のみでしたが、発表者の学生は、自ら足を運び、現場を見、周辺住民に取材した結果得た現状や、そこから考えた提案を発表することとなります。
B班は、野原 久保 青野 秦 蔡 以上の皆さんです。
B班は、私たちの芸術工学研究院大橋キャンパスからバスで50分程度の場所にある福岡市南郊の那珂川町の温泉地の周辺をブラウンフィールドと設定しました。
ここは温泉施設の一人勝ちのようなところで、都市部から、車や無料バスなどでお客さんは温泉に来るけれども、周辺の土地はどうなのか、住民はどのように暮らしているのかが問題となります。
周辺住民の方は、住民以外の人の心無い行為:ゴミのポイ捨て・不法投棄、施設の手入れ不足、川が汚いなどの問題を持っているようです。この他、害獣もでるようです。
このような現状を知ったB班は、
1)イベント会場をつくり、コンサートや祭りをする、レンタル自転車を設置する、
2)農園をつくり、貸し農園にし、都会の人の憩いの場にする、収穫体験ができるようにする、
3)元々あるウォーキングコースの再整備、昼は子供向けスタンプラリー、アート体験の場、夜はライトアップしデートコースにする。
4)ゴミ捨てや不法投棄の看板をデザイン性を高めることで改善する。
5)山のマナーを守らせる
6)ゆるキャラをつくる
といった改善案をだしました。
授業の履修者からは、実際の工程はどのように考えているのか?温泉施設周辺に住む住民のための改善こそ必要ではないかといった質問がなげられました。B班はこうした問いかけに一生懸命に答えておりました。
さらに全体を率いて来た先生からは、ブラウンフィールドを再生しながらクリエイティブシティ的な空間や場所を創出していくにあたって事業を提案する際に、忘れてはいけないポイントには、①人材の問題 ②資金の問題 ③スケジュールの問題 があることが知らされました。
B班のみんなは、机上で考えるのと、実際に現場に行ってみるのとでは、随分いろんなことが違って見えるのではないかと思いますが、いかがだったでしょう。お疲れさまでした。
次週は、A班とC班です。テーマは何でしょうか?楽しみです。
岩 井