建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!


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11月24日、25日に熊本大学にて開催された文化経済学会が行われました。

熊大の渡部先生を委員長に、office musicaの西嶋さん、藤原先生が副委員長を
筆頭に、沢山の方々と12回にわたる実行委員会会議の上、無事成功することが
できました。 パネルディスカッション、懇親会、分科会、コーヒーブレイク
お弁当と隅々まで工夫をこらした学会でしたが、学会の締めくくりは何といっても
「熊本セッション」です。

3つのテーマ
「セッションA 地域を動かすポップカルチャー、熊本の新しい可能性」
「セッションB 公共財としての「くまモン」」
「セッションC くまもとの恵みの酒」
と、十二分に熊本の文化資源に視点を当て、熱い議論が交わされました。
どのセッションに参加するか迷いましたが、私は公共財としてのくまモンについて
聴講しました。


セッションB 公共財としての「くまモン」
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5千件を越える使用件数、商品総販売額は30億円以上(一説では100億円超)
と言われ全国区となったゆるきゃら”くまモン”。県が管理・運営する“公共財としての
「くまモン」だが、果たして当初の目的の達成度は如何に。
直接的な経済効果だけ
でなく、地域の象徴材としての今後の活用の仕方、また、地域に与える影響等について
も論じる。


運   営:西嶋公一(オフィスムジカ代表)

司   会:朝田康禎(熊本大学法学部准教授)

パネリスト:坂本孝広(熊本県くまもとブランド推進課長)

    濱田康成(濱田醤油社長:登録文化財の建物・産業遺産を有する老舗)

    内田祐史(地域経済総合研究所・調査部長)


くまモン誕生まで—

新幹線ストロー効果を恐れた熊本県が「くまもとサプライズ」として小山薫堂
考案のロゴとともにくまモン誕生。「熊本の者」=くまモン。
最初はおまけとしてのキャラクターであった。


・たまがらせる!

・誰かをびっくりさせるような、誰かが幸せな気持ちになるようなことを
 熊本県民みんなで考える

・サプライズのネタになるようなものを日常生活に作ってゆく がテーマ


関西戦略—

新幹線によって、関西、中国地方と日帰りで行き来できるようになった。

関西の名物→お笑い/食い倒れに対抗せよ!くまモン投下!


・神出鬼没大作戦—様々な観光地で神出鬼没 実は熊本のPRであることを明かす

・口コミなどの参加型情報拡散 ・話題拡散の段階に応じたPR作戦


ストーリーを展開し、人を惹き付ける

・一万枚の名刺を配るミッションが市長より渡る→くまモンが失意の上失踪!
 →目撃談で関心高まる

・熊本知事、スザンヌ、くまモンが大阪でお笑いを行うなど地域に限らない人々が
 関心を寄せた。
UHA味覚糖 カゴメ野菜生活デコポンミックスなど製品化 売上げは前年の1.3倍に。
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キャラクターとしての特性—

利用料は無料。月々450件の使用依頼が来る。グッズ売り上げは25億円。

幼稚園・駅でお迎えなどの活動を行う。熊本物産展、九州物産展でも需要がある。

ー熊本から元気を届けるプロジェクトー

これまで行ったことがない場所を巡る。被災した場所の小学校など訪問。

くまモン認知度は 首都圏40% 関西60% 福岡78%となっている。


くまモンのネクストステージ—

・くまモンのブランド価値向上

・くまモンと熊本の関連性強化

・持続可能な仕組み作り 中国・台湾・香港において商標登録済み


ファンレターが毎日10通、週に40ー50通が届く。子どもによる似顔絵が多数。

癒しを求めた大人などから、生のくまモンに会いたいという要望がある。

イベントへの出演要請も土日の最多だと40-50件お断りしている。

しかしながら出演は経済効果を重視した優先順位ではない。突然手術前の患者の
所へ向かうなど人の幸せに重視したい。


・くまモンの常設展示場を設置を希望

→営業部長室を構える。熊本に行けば会える!という特定の場所へ求心する。

くまモンのスピーディーさ、茶目っ気を保ちつつ活かしつつ、

熊本の独自性と結びつけていくことが必要不可欠。

くまモン単体の持続性はどこまで続くか。ストーリーを考えて行く必要性がある。

しかしこれは単独で行うものではなく、県民みんなで考えていく必要性がある。
提案によって方向性を見つけていかなければならない。



くまモンを使用した地元企業の声—

熊本アルコールフリー飲料「熊本フリー」の開発

濱田康成(濱田醤油社長:登録文化財の建物・産業遺産を有する老舗)

河内の青みかんを沢山使うような製品を作ってほしいと依頼があった。

青みかん果汁を使うフリービールを開発。

「熊本フリー」として30万本の売り上げを誇っている。

・当初は時流に乗りたいという意で、くまモンに愛情はなかったが、現在は一緒に
なって熊本やくまモンを育ててゆく使命感を持っている。

・くまモンに頼らないと売り上げを取れない、ブランド化できないといった
 企業も反省しなければならない。

・熊本はやっぱり人が魅力だと考えている。「あの人がいるから会いに行こう」

 

ゆるキャラとしての魅力と経済効果—

内田祐史(地域経済総合研究所・調査部長)

・ゆるキャラの経済波及効果など、全国のゆるキャラを研究の対象としている。

・佐賀県のキャラクター、東国原知事が1500億円の経済波及効果があった。

・くまモンも地域物産展などの効果などを考えると、軽く1000億円越えると
 考える。また数値には計り知れない効果をもたらしていると考える。
 熊本の知名度は確実にアップしている。
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地域とゆるキャラの結びつき—
荒木長照(大阪府立大学教授)

地域イメージの共有

意味の移転→くまモンがカワイイ、となると熊本にも親近感が自然と沸く。

キャラクターの中毒になる人がいる。コレクターなどによる経済的効果。
くまモンだったからお土産に選ぶ。


くまモンは熊本出身のアイドルのような存在。熊本=くまモンとは
まだまだなりきれておらず、地域との連携を図る可能性が必要。
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質疑応答—

「くまモンがここまで拡散した理由は?」

・利用権がタダであること

・デザインが秀逸であること

・仕掛けを緻密に行ったということ

・隙があること が有利に働いたのでは


「アイデアの中で重視していることは?」

・ターゲットを明確にするー特徴がある

・ターゲットに対抗する戦略を考える

・こういったことは県職員の雑談から生まれている




議論も盛り上がり、一段落つくか否かの頃・・・・


なんと本物のくまモンが登場!!!!

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か・かわいい~~~っっっ!!

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冷静に議論を聞いていたつもりでしたが、いざ本物に会ってみると目が♡に
なってしまいました。キャラクターの特徴をよくよく考えられた動きが
とても魅力的です。 緩急をつけた振る舞いや、おとぼけ気味でやんちゃな性格
の設定がしっかりしてあるのが伝わり、空気を読めないようでしっかりと
読んでいる。ただフレンドリーに手を振っている多くのゆるキャラと「ちがうな」
と思った瞬間でした。 コンサルタントが中心となるのではなく、県職員が
一生懸命考えて動かしているキャラクターとメッセージが、くまモンに生命を
ふきこんでいるのだな、とくまモンの魅力に触れた気がしました。
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D3 國盛 



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