建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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九州大学後期公開講座の第2回が始まりました。後期は土木遺産に着目し、
日本の幕末、明治以降を変えた近代化過程の残照として煉瓦の近代を検証します。

明治期、わが国の近代化を急ぐため、日本は数々のお雇い外国人によってインフラが
整えられていきます。「日本の灯台の父」と呼ばれるリチャード・ヘンリー・
ブラントンもその1人でした。士族授産1876年(明治9年)までの8年間の日本
滞在中に、和歌山県の樫野崎灯台を皮切りに26の灯台、5箇所の灯竿、2艘の
灯船などを建設し、日本における灯台体系の基礎を築き上げました。
 

藤原先生は専門学校で教鞭を取っていた当時、学生達と旧菅島燈台に出向き、
つなぎ、スコップを持ち、テントを張って煉瓦の遺構を収集したそうです。

この他にもたくさんの煉瓦のコレクションを見せていただきました。

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煉瓦史研究の背景その1 日本の科学技術立国化Camscanner0

明治6年(1873), 国内で初めて工部大学校造家学科が設立されました。
明治初年~明治12年に初めての卒業生が輩出されます。

日本では富国強兵が唱われ、軍事化 殖産興業 工部省が設立された頃のことです。

明治4年、工学寮は6年制度でした。2年の工学技術の基礎教育、数学・物理・図学
・製図などを2年、専門教育2年、加えて実地教育が行われたそうです。

造家学科の第一回目の卒業生は4人。辰野金吾、曾禰達三 、片山東熊、佐立七次郎。
辰野、曽根は唐津藩から東京に勉強をしに来ていたそうです。しかし造家学科に
初めての教授、ジョサイア・コンドルが着任するのは明治10年。若干25歳です。

工学寮は工部大学校へと変化します。




煉瓦史研究の背景その2 造家学科の教育/コンドルの建築教育
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煉瓦造建築・西洋建築史・設計製図

煉瓦造建築は、建築の骨組、建築構造に力を入れることととなりました。

構造材料の調達、製造、加工、構築方法等を含みます。

造家必携 コンドル先生が口述した講義内容をまとめたものが書籍として発行。

煉瓦を積み上げ構築する際の基礎回りに始終壁の煉瓦を積み上げて構築する基礎

公共建築を煉瓦造で築くことを基本しています。

西洋建築の変遷
クラシック:古代ギリシャ、ローマ 
中世:ビザンティン、ロマネスク、ゴシック

近代・近世:ルネッサンス、バロック 

コンドル先生は「建築家とは古典から近代まであらゆる建築様式を自在に使い
こなすことのできる存在だ」と唱え、「折衷主義」を提唱します。



煉瓦史研究の背景その3 戦後の日本近代建築史研究
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明治・大正建築が30年代に歴史研究の対象となってゆきました。

明治建築史研究のいっかんとして煉瓦史の研究をしてゆくこととなります。

藤原先生が師事した村松貞次郎先生は、グラバー邸を発見した第一人者です。

長崎のまちにあった屋敷の部材を転用した転用材で作られたものでした。

天草出身の大工小山秀乃進によって作られたグラバー邸は、洋式ではなく旧来の
和風の在来技術で作られたものでした。表向きは洋風建築、しかし構造は根強く
和風の在来工法が残っている。これが日本ならではの近代化だったのではないか、
というようなことが挙げられています。村松貞次郎先生は「日本建築近代化過程の
技術史的研究」「村松コレクション」を構築し、教え子であった堀勇良先生は
「日本における鉄筋コンクリート建築成立過程の構造技術史的研究」を発表します。



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明治39年(1906)建築 山口・下関/旧英国領事館 クイーンアンスタイル 

ファサードが小割りされています。ダッチゲーブルの意匠も見られる。

現在は半解体修理が行われており、新しい技法かつ非常に難しい技術だそうです。

ヴェニス憲章によって、保存修理を行った場所を記録しておけば、文化財として
差し障りがないことが国際的に定められています。
 

インチとフィートは尺寸体系と近いそうですが、日本の修復技師達は尺に読み
替えて施工するそうです。煉瓦の壁面は、90cmおきに鉄板が入っており、これらが
当時の耐震技術であったそうです。

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ファサードが東西南北それぞれ少しずつ違う意匠があります。

広い煉瓦の面を小割りにするドレッシングという装飾技法で面を小割りにし
シンメトリーからの開放を試みています。


日米和親条約によってい港を5つ開くことととなった日本は、リチャード・
ヘンリー・ブラントンに各港の灯台を作っていきました。
その上横浜の都市計画も行っています。

6角形の煉瓦は、長崎湾の奥にある伊王島灯台で発見されたものです。
六角形の基礎はこの煉瓦で作られています。


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「伊王島灯台」の大きさ
高さ: 建物 11.46m   光り:水面から64.36m 灯塔の太さ: 六角形 7.2~6.0m
光りのとどく距離: 150,000カンデラ 20.5海里( 約38km) 
光りかた: 30秒周期で15秒間に4回白く光る 
設置年月: 明治4年7月初点灯 昭和29年建替え 平成15年9月復元 
http://ioujima.web.fc2.com/toudai.html

神戸は英国人のジェームス・ウィリアムハート(上海で設計技師を行っていた人物)
が神戸に呼ばれ設置した煉瓦造の下水道が残っています。

上・中・下と、側面のどこに使うか刻印された煉瓦で作られていたそうです。

神戸市の工事担当者に依頼、この下水の一部を保存してもらったとのことでした。

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煉瓦の色は焼く温度によって変わります。温度が低くもろいものは、淡い色を
しています。大正期になると煉瓦の大量生産が行われるようになり、質も良く
なりました。高温で焼いた煉瓦は濃く深い色をしています。
 

煉瓦はどこで生産されたかが分かるように、刻印がされています。例えば福岡県
大牟田市の三池集治監や三井三池製作所の煉瓦は梅のマークが刻印されており、
囚人などが近辺の煉瓦工場で煉瓦を焼いていた背景があります。


研究室にある日本の煉瓦を左から年代順に並べると、以下のようになるそうです。
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次回は10月30日(火)19:00 ~21:00に開催されます。専門知識満載の公開講座。
今回もたくさんの実物の煉瓦をもとに、先生の長年の研究経験から煉瓦に詰まった
近代化の歴史的文化を垣間見ることができました。


D3 國盛 








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