大学院授業の1つ「環境・遺産デザインプロジェクト演習Ⅲ」では
「大震災を知る、見る、考える」というテーマのもと、文献調査から現地調査を
通して震災を考えていく取り組みをしています。
講 師:谷正和先生
テーマ:訪問見学候補の選定
課題:
・仙台市から東方面の以下の市町村について、東日本大震災の被害状況を文献、
新聞、インターネットなどを通じて調べる。
対象市町村:塩釜市、松島町、東松山市、石巻市、女川町その中から実地に
見学すべき対象を決める
・現地で訪問できる機関、組織(市役所、町役場、社会福祉協議会、現地で
活動するNGOなど)を調べ、現地に行った時に追加情報を得る。その中で
各市町村の社会福祉協議会は通常ボランティアの受け入れ窓口となっており
被害状況に関する情報もある。
・上記の市町村史はすべて九大の図書館システムのどこかで所蔵されているので
地域の歴史についても調べること。
・仙台駅周辺のホテルに宿泊するので、仙台駅から目的地まで公共交通機関で
到達するルート、時間、費用などを調べる。
・対象地についての地図、航空写真などを集める。
・集めた文献資料のうち重要なものをワークシートにまとめる。
山下 修平
塩釜市を中心的に調査
塩釜市役所・塩釜市社会福祉協議会訪問→情報が得られる ボランティア可能
5市町村の中で被害がそれほど大きくないため十分な調査研究が行われていない
可能性がある訪問目的は、生活環境(仕事、娯楽、芸術・文化、教育・福祉、
自然、空間のゆとり)に対する客観的および主観的な評価について、震災前後の
変化を読み取ることにある。
倉富 久宜
「被災地の復興住宅地周辺のコミュニティ」
見学実施予定地、東松島市(石巻市の隣)
阪神淡路大震災など復興の際、コミュニティを新しく築けなかったケースがある。
見学先
仮設住居(中に入れるのか?)
NPO法人 グループホーム のんびーりすみちゃんの家
フリースクール 創る村などを検討
|先生方より
→復興のアプローチ、プロセスも収集できるとなお良い。大きな港のみならず、
小さな港町の コミュニティも関心をもってもらえると○
→集会はどこの場所を確保しているのか、子供はどこで遊んでいるのか?
仮設住宅に持ち込まれているものに注視してみると良い。写真を撮るものの
リストをアップしておく
荒木 洋平
女川町総合運動公園仮設住宅(坂茂設計)
平地が少なく仮設住宅の土地が不足 野球場のグランウンンドの中に設置
管理:女川町(ボランティアを受け入れている場所、連絡など対応してくれるのでは)
高級仮設住宅・アメニティ・快適性
調べたいこと
仮設住宅における生活行為の実態調査
仮設住宅の立地特性の把握−−−インタビュー調査
|先生方より
→女川町 社会福祉協議会と連絡をとる
→原発がある町の状況で、将来構想を把握し研究に繁栄させる
→どういう枠組みでアプローチするのかを考える
鶴田 拓史
宮城県女川町について
女川村が大正時代に女川町へ 人口増減率は−6.2%
2012年現在人口8189人
女川町の被災
明治26年 昭和8年 三陸津波→堤防を設置
昭和35年 チリ地震によってさらに高い防波堤を築いた
平成23年 東日本大震災
人的被害およそ600人死亡 最大避難者5700人
避難所であった第一小学校は現在仮設住宅の場所にもなっている
女川町総合運動公園仮設住宅 (坂茂)
マーケット、アトリエを併設している
新潟大学−−−仮設住宅を考える 仮設住宅の住み方を教える説明書書き
女川町の仮設住宅
建築家が関わったもの⇔通常の平屋住宅
どんな仮設住宅がうまくいっているのか。現在仮設住宅がどのように
使われているのか
現地訪問場所
女川町復興支援センター
社会福祉法人女川町社会福祉協議会
女川町復興サポートなどを検討
|先生方より
→女川町復興支援センターに問い合わせて計画を作成することは望ましい。
→福島第一原発は3000人が就労していた。女川原発にも相当数が関係していたはず。
女川町の原発の状況を踏まえながら、資料等で把握しておくと調査に深みが
増すのでは。
現地調査は呼ばれていくのと、呼ばれていないのに行くのとは違う。特に被災地で
あるので、役所を通して見学したいという旨を連絡し訪問すること。写真撮影など
気をつけて、トラブルにならないようにすることを心がけること。
濱口 梨花
石巻市周辺を調査
・見学候補地
石巻市役所
石巻市図書館→ 外壁、内壁など破損があった。業務再開がされているので復興の
様子を探る
石巻市災害支援センター
石巻市災害ボランティアセンター&石巻災害復興支援協議会
→NGO,NPOおよび特別スキルを持つ個人の方々が連携し合い円滑で効率的な活動を
行うための場
石巻専修大学→ 復興共生プロジェクト
文化財→ 旧石巻ハリストス正教会教会堂は石巻市の有形登録文化財に指定
|先生方より
→情報収集と見学が渾然一体となっている。歴史的建造物に焦点を当てるなど、
テーマを決めて調査に行くとなお良い。文化財関連はインタビューもしやすいので
時間との兼ね合いも良いと思う。
→文化財の被害と復興状況は調べると興味深いと思うし、道中の町の姿も注視し、
両方から被害の状況を把握してみては。
レイエス・ハイロ
東北海岸域における被災地の調査:中央地区、南浜
石巻市のNGO,NPOを訪問
石巻市災害ボランティアセンター
ピースボート
都市の新しい復興モデル・国際的なボランティアの存在を把握
被災地の状況を現地現地で把握したい。
どのように今後津波の被害をコントロールするのか、計画や都市の現状から捉える。
緩衝緑地、道路の再建の様子を見たい。
|先生方より
→どういう情報が欲しいのか、なにをテーマにするのかを明確にする必要がある。
→それぞれの場所の地域のアイデンティティを見るということか。
→二重の防波堤システムのプランがある。南浜は集団移転で津波があったゾーンから
全員移動している。文化センターをどうしていくのかなど。
→高台が一番被災をまぬがれることができる。それ以外の場所の対処を見る。
現地においてのマナー
・挨拶を欠かさない
・話をする場合、必ず自己紹介をする
・腕章を付ける
・写真撮影は許可をとる
それぞれの関心ある視点から、近日の被災地調査に望む履修生の様子が伺えました。
(つづく)
D3 國盛