建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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研修会2日目、2月16日の「東日本大震災に学ぶリスク・マネジメント」では、東日本大震災とその後続いた被災時に、現場はどんな状況だったのか、それにどう対処したのかという報告がなされました。
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同時に、この研修会に間に合わせて作成したという『東日本大震災の教訓に学ぶリスク・マネジメント 関連資料』として、被災3県(岩手、宮城、福島)の劇場の被害データや復旧の目処など、調査報告所が配布されました。そこには建物の被害から、当時の利用者や職員の被害・安否情報、避難所としての利用など、当時の様子が記され、最後にはそこから学ぶリスク・マネジメントとして、今後の防災対策等も記載されており、非常に重要な資料を頂くことができました。

災害時の、劇場での様子も、混乱のなか対応に当たっていたっという生々しいお話しをお聞きしました。

当時、まず一番困ったことは、劇場が避難所に指定されていなかったので、避難所としての設備が十分でなかったとのことです。しかし、災害時に公立の施設へは、市民に取ってはまず避難場所としての機能が求められています。物資等の備蓄もなかったとのことですが、実はそこでパンチカーペットや毛氈、畳などの舞台道具が毛布等の代わりとして、暖をとるために有効だったという話しをお聞きしました。行政との連絡が取れない状況でも、様々なことに対し現場では判断が求められます。その判断を、確実なものにするためにも、日頃のリスク・マネジメントが重要になるのでしょう。

この議論の場の中で、「被災直後は飲物、食べ物、雨風をしのぐことは第一に必要とされる。しかし、生きるためには夢や希望、明るい志をもつことも大切なものだ。そんななか、文化芸術がもたらす役割が必要だろう」というお話し、自身も被災されたなかでのこのご意見には、非常に心打つものがありました。


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最終日、2月17日のファイナルでは「地域伝統芸能を復興の力に!」というテーマで、パネルディスカッションが行われました。

まず、このファイナルの幕開けに、釜石の虎舞保存連合会の方々による演舞がありました。東北沿岸部、今回の被災で多くの伝統芸能が大きな損害を受けていました。

そんななか、この釜石の虎舞も災害に見舞われるなか、いち早く被災者のケアのため活動を始めたとのことです。この日のために、夜中から早朝にかけ移動されてきたとのことでした・・

力強い演舞には、感涙いたしました。

まず、宮城県・福島県の教育庁の文化財課の方々から、被災地の被害状況報告がありました。
宮城の場合、津波被害のため、集落ごと移転を余儀なくされた地域があります。そこの民俗芸能の復活とは何なのか、という議論がなされました。民俗芸能の行事の復活、用具を揃えて、上演するということなのか。そもそも、その芸能の場として集落があったのに、その集落がなくなってしまった。復旧なのか、復興なのか。元に戻ることは無い、では、それをまず前提として、これからどうするのか・・その課題に向かわれているというお話しをおききしました。
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福島では、今度は放射能という被害がありました。現在、放射能を測定する機器が小学校や施設等、至る所に設置してあるそうです。
また、警戒区域に残された芸能のための道具、装束を運ぶことも困難との事でした。一時帰宅が認められ、そこで持ち出そうとしても、放射能の測定値が規定以上だと持ち出せないという実態があるそうです。そんな中、何とかおまつりも開催した事例もあったということでした。そのときには、避難先の場所で開催し、多くの地域の方が喜ばれたとのことです。
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今なお続く原発事故の影響、それによる人口流出という問題のなか、どう芸能を続けていくのか、これまでの災害にない大きな課題を抱えたままです。


このシンポジウムの最後に、伝統芸能に対し、劇場・ホール側が支援をしていこうというお話しがありました。そこでは、舞台上での芸能の公演ということが挙げられ、何よりも地域によるそれぞれの個性を尊重し、観客との関係、舞台と観客の近さ、密接さを図ることが提示されました。

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東日本震災から1年が経過し、劇場・ホール、公立文化施設の求められるものが浮き彫りとなってきました。私自身、劇場を研究テーマとするなか、震災によって公立の施設とは何なのか、社会のなかで、公共のなかでどうあるべきなのかを問い続けた1年でした。
そんな中、人形浄瑠璃という舞台制作に関わり、伝統芸能・民俗芸能と劇場・ホールの関係を考え直していきました。

文化施設は、地域社会を支えるための、その地の文化芸術の核にもなりうるものです。さらにそこに“公立”という冠詞がついた場合、それはよりいっそう強いものになるのだと思います。
日本の地域の中に残る芸能の多くは、そこに住む人たちの心血により、本当に奇跡的に残っている状態です。大きな災害が無くても、いつ途絶えるかも知れない芸能は数多く存在します。そこに我々がどう支援して行けるのか。むしろ、どう地域の芸能に寄り添わせていただくことができるのか、そういった事を今後の自身の課題にしたいと考えています。

東京での刺激的な議論・出会いは他にもありました。こちらはまた改めて紹介させていただきます。
このような貴重な機会を与えて頂けました多くの皆様に、厚く、感謝・御礼申し上げます。

(修士 北岡慶子)

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