呉さん、これからの研究・勉強と、日本での留学生活を、どうぞ有意義に楽しんでください!
昨年の9月に来日してから、研究生として過ごした約半年間、様々なフィールドワークに参加され、各地で重ねてきた経験を、研究報告していただきます!!
≪研究業績報告 呉瑋嬌≫
2011.9.27~2012.02.29 に参加したフィールドワーク
①大分県日田市
2011.10.05 ご隠居カフェまちづくり交流研究会
2011.10.06 日田市を踏査
2011.11.11 明王寺でのワヤン・ベベル「スタソーマ」ワークショップ日田千年あかり
2012.02.15 日田ラボ 文化講演会「公民館を活かした参加と協働のまちづくり」
②熊本県菊池市
2011.10.12 第1回菊池文化資源講演会「<文化資源>というパンドラの箱を開ける」
2011.10.13 九州大学公開講座「千年風土建築文化とフェスティバル」菊池踏査
2011.11.07 松囃子能場でワヤン・ベベル公演とワークショップ
2011.11.20 第2回菊池文化資源講演会「グローバル世界から見た菊池ローカルの文化資源」
2011.11.26 湯ったり菊池の軽トラ朝市九州大学のふ印ラボショップ
2012.02.19 菊池文化資源総合調査講演会シンポジウム
2012.02.26 湯ったり菊池の軽トラ朝市九州大学のふ印ラボショップ
③熊本県天草市
2011.10.22〜10.23 天草市五和町御領世間遺産を活かしたまちづくりのシンポジウム
2011.11.03~11.05 九州大学公開講座「千年風土とフェスティバル」天草踏査・天草世間遺産写真展
④熊本県阿蘇山
2011.10.30 九州大学公開講座「千年風土とフェスティバル」阿蘇踏査
⑤熊本県荒尾市
2011.12.03 荒尾の観光振興のわくわくワークショップ
⑥大牟田・荒尾
2011.10.28 芸術文化企画演習 大牟田・荒尾 炭鉱遺産フィールドワーク
⑦福岡県八女市とうきは市
2011.12.09 菊池たてもの応援団菊池文化資源研究会視察研修
⑧福岡県福岡市
2011.12.11 人形浄瑠璃鑑賞(九大HME育成ユニット「南区人形浄瑠璃」)
⑨宮崎県高鍋・西米良村
2011.12.14~12.15 公開講座「千年風土建築文化とフェスティバル」宮崎踏査
重要無形民俗文化財銀鏡神楽鑑賞
⑩東京都
2011.12.16〜12.18 日本文化政策学会参加
2011.12.19~12.21 東京見学
⑪韓国釜山
2011.12.25~12.28 藤原研究室韓国釜山踏査
2011年12月に経済大国日本の象徴である首都東京へ行った。世界中の大都市と同じで、高層ビル、繁栄している商店街、発達した交通網や大量の人の流動などの風景がよく見られる。
国の発展につれて発達する高度な技術、物質溢れた社会は必然的な結果であろう。自分の国の独自な文化、各地の伝統的特色な芸術文化の保存と歴史的な地方の活性性まちづくりは同時に重要な課題になっている。
2011年10月からさまざまな活動に参加した。菊池や日田のような日本歴史的伝統的なまちでフィールドワークを行った。大都市の喧しさではなく、各地域が日本ならではのそれぞれの芸術文化、景観、歴史遺跡、優れた地域の文化資源がみられた。
【主な活動 】
1.藤原恵洋研究室同人である小谷野哲郎氏が率いる“ウロツテノヤ子”とバリ島のワヤンベベルチームの共演で、絵巻物語りワヤン・ベベルの公演を開催した。(2011年)
11月07日(月) 夜 菊池市隈府上町松囃子能場にて公演
11月09日(水) 夜 日田ラボにてミニ公演
11月10日(木) 日田市小学校にてワークショップ
11月11日(金) 日田千年あかり明王寺でワヤン・ベベル「スタソーマ」
ワヤンは絵芝居、ベベルは繰り述べる・広げるという意味だ。ワヤン・ベベルとは昔にインドネシアに昔あった絵巻物芝居である。ワヤン・ベベルの公演では絵巻物を一つの場面ごとに広げていきながら、物語を語っていく。そして、ガムラン音楽と踊りも繰り広げられた。ワヤン・ベベルの絵巻物、ガムラン音楽と踊りの芝居はインドネシアのジャワ島とバリ島で行われる、人形を用いた伝統的な影絵芝居のワヤン・クリから転じてくる。ワヤン・クリが現在に上映されることがほとんどない。03年には世界無形遺産に登録されることになる。
出演者小谷野哲郎さんはバリに留学後、プロのバリ仮面舞踊家として活動する。日本インドネシア芸術文化交流を立ち上げ、バリの伝統芸能を支援している。「スタソーマ」の画家とガムランの演奏家、デワ・スギさんの絵は伝統的バリ絵画の技法にのっとりつつ、バリ島に古くから伝わる精神性を打ち出した、現代で伝統絵画だ。作曲とガムラン演奏家のデワ・ライさんはガムラン演奏家の父の古典曲を受け継いでおる。実力が国内外でその実力はみとめられている。
今回、九州にワヤン・ベベルのガムラン音楽と舞踊、絵巻物芝居「スタソーマ」の公演とワークショップを行った。公演の場所が地域の小学校、国重要無形民俗文化財菊池松囃子能場、日田明王寺になった。地元の市民と他県から来た市民も異国の伝統的文化を体験した。公演後、ワヤン・ベベルの成員は市民にガムラン楽器と絵巻物を市民に展示、紹介してくれた。また、ワークショップに参加から子供に音楽、楽器に親しくてもらう機会を増やした。子供たちの音楽の興味と関心を高めて来た。
2.菊池文化資源講演会(2011年)
10月12日(水) 午後7時〜9時10分 菊池市文化会館
<文化資源>というパンドラの箱を開ける〜菊池の文脈と矜持、未来への示唆〜
11月20日(日) 午後2時〜4時半 菊池市七城公民館
『グローバル世界から見た菊池ローカルの文化資源』
九州大学大学院芸術工学研究院藤原恵洋研究室主催 菊池文化資源講演会が開催された。第一回の文化資源講演会の講師は東京大学大学院人文社会研究科教授木下直之先生だった。木下先生は講演会では現実と思考、物体と概念の双方から文化の考え方、宝物と文化財と文化遺産の保存から保護・活用へ進むこと、文化資源の資源という言葉を詳しく解釈したこと、自然と文化という二分法についての講演をした。第二回の文化資源講演会の講師は菊池出身のスイス富士銀行社長、ロンドン支店長を歴任し、2011年九州大学大学院芸術工学研究院藤原恵洋研究室による『菊池文化資源総合調査研究』顧問をつとめている江頭実さんだった。今回の講演の主旨は銀行マンとして欧米駐在16年間を過ごした江頭さんが金融世界の舞台の立場に日本と菊池の以前の状態と現状を分析し、グローバルの視点から菊池の地域固有資源の魅力の再発言を示唆してくれた。
3.湯ったり菊池の軽トラ朝市九州大学のふ印ラボショップ
11年11月26日 湯ったり菊池の軽トラ朝市九州大学のふ印ラボショップ
12年2月26日 湯ったり菊池の軽トラ朝市九州大学のふ印ラボショップ
熊本・菊池「軽トラ朝市」実行委員会(菊池市商工会)の主催による毎月第四日曜日に菊池市中心街において、熊本・菊池「湯ったり菊池の軽トラ朝市」が開催される。この日に、菊池の立町通りから迎町の通りまで八百メートルの間に軽トラックおよそ百台が午前8時から11時30まで並べている。つみたてと産地直送などの販売もある。その中に九州大学ふ印ラボショップも出店する!手作りのグッズ、古着、小物などが販売された。朝市に市民の流動性を増え、地域の再生に関心を高め、さらに、地域に市民の愛情と誇りを呼び出すことに大きく役に立つ。
4.九州大学公開講座「千年風土とフェスティバル」(2011年)
10月13日 菊池御松囃子御能観賞
10月30日 熊本県南阿蘇村における祭礼「波野神楽」鑑賞と阿蘇火山風土を巡って
11月03日〜05日 天草大陶磁器展、天草世間遺産写真展
12月14日〜15日 宮崎県西米良村における重要無形民俗文化財「銀鏡神楽」鑑賞
公開講座「千年風土とフェスティバル」によるフィールドワークが行われた。御松囃子御能は、南北朝時代から年頭の祝儀として、650年程代々絶えることなく継承され現在に至っている菊池の狂言、仕舞、独吟、素謡などの芸術形式を含む伝統芸能である。明治三年菊池神社が創建されると、神社の祭礼神事に改められ、毎年十月十三日に奉納されている。国重要無形民俗文化財に指定されている。全国有数の神楽の里阿蘇市波野では一年に一度、神楽フェスティバルが開催される。通称、神楽苑である。中江岩戸神楽と横堀岩戸神楽を含んでいる。もう一つ重要な国指定重要無形民俗文化財は銀鏡神楽である。西米良村へ向かい米良大橋を渡り右折、銀鏡川沿いに山深く入ったところにあった。銀鏡神楽は銀鏡神社の大祭に三十三番の神楽が奉納されて日本に有名な神楽である。各地から数えない人々は寒い日に露天の舞台で行われる神楽の鑑賞に来て、一晩中徹夜して鑑賞し、翌日の行事を待っていく。
【まとめ】
グローバル化高速的発展の昨今では、日田の千年あかりでも、菊池の御松囃子御能でも、このような各地域の独自の伝統文化は日本にとって非常に重要な文化の宝である。したがって、歴史・文化資源を保全しつつ、地域の個性的な魅力を引き出すことに注目しなければならない。
また、地域の再生は一つの地域の持続的発展の前提だと思う。地域の活性化の活動が必要だ。地域によるフィールドワークを通して以下の地域活性化の纏めをした。
①異文化の交流、各地の文化の紹介などの活動を行う。
地域に新しい活力を注いで相互に学ぶ役割を果たしている。
② 菊池文化資源講演会のような地域に対しての文化資源の講演会を行う。
より多くの人の関心と興味を高め、文化資源の価値を理解させることを目指している。
③ 地域の資源を活かし、温泉、商店街、おいしい地元の食べ物などのを発見し、
利用して、地の特色を引き出していく。地元のブランドを作り出す。
④ 若者は未来の主人といえる。子供の頃に地域の誇りを体験させ、
地元の愛情を養成させれば将来の地域の再生と建設の希望が見られる。
⑤ 歴史的・伝統的文化を保存し、維持するのは異なる民族及び社会集団を結びつけ、
文化の独自性を主張する有力な手段である。
地域の文化の保存と文化資源の活用、個性ある地域のまちづくりを将来にわたり着実に進める一方、現地に問題をおろそかにしてはならない。踏査した菊池、日田などの地域は人口密度が非常に低い(人口密度人/km2 菊池180 日田105)。そして、講演会の来場者、街を通る人、イベントに参加した方を観察したら、高齢化の問題と若者の地域創造の関心の薄さを感じ、重要な課題であると考えた。
都市の発展と計画に注目するだけではなくて、地域の文化資源を発見し、利用して、さらに、異文化の間の交流を高め、地域の再生を促す。都市と地域の共同に発展に達することも重要な一環だと思う。
どんなまちでも活力と多世代の住民同士の協力、創造が必要だと思う。地域の魅力を創出し、歴史文化を保全するのみならず、どのように地域の持続的発展、地域の再生を試みるのか、今後も研究を続けていく。
【修士研究】
研究テーマ:都市の広場の成立と機能に関する日中比較研究
研究期間:2012年4月〜2014年3月
研究内容:
「広場は主体的な行動を通して、宗教的・社会的・経済的・政治的コミュニケーションの接点として利用される人口のオープン・スペースとよく言われる。大量の人口流動の都市の広場は社会生活と密接な関係にあり、多くの文化的社会的機能を与えられ、都市における社会進歩や文化発展のために重要な役割を果たしている。
本研究は生活環境の重要な景観としての都市の広場を研究対象にして、広場の成立と展開、都市広場の定義の検討、分類、特徴、機能、影響(人と広場の関係)と日本、中国の広場の比較に関する研究を行う。その中から、日中の広場の源を探求し、古代時期から日中の広場文化と広場生活の存在を明らかにして、また、日本と中国のそれぞれの環境整備に関する適切な方向性を見つけたいと考える。」
以上、素晴らしい研究生としての研鑽を重ねてきた呉さん。続けて修士研究も精励してください。研究室一同応援します!