12月23日福岡県大牟田市の三井三池炭鉱関連施設「旧長崎税関三池税関支署」
は大牟田市の指定有形文化財です。通称長崎税関は1908年、石炭の輸出港として
整備された三池港の開港と同時に開庁しました。現在は三池炭鉱の海外貿易を
知る上で貴重な文化財ですので「九州・山口近代化遺産群」の一つとして
世界遺産の暫定リストに記載されています。
現在は改修中ですが、この日は一日見学することができました。
12月23日(金)10:00〜16:00
長崎税関現場は大牟田市教育委員会によって開放され、見学会場となりました。
市役所の方々自ら長崎税関の改修の現場を説明してくださいました。
建物をすべて解体、部材を通して調査を行います。建設当初の部材は
残されていません。この解体調査工事で建設当初の姿を復元し、設計図を
作成することも重要とされています。税関の基礎は随分と地盤沈下して
しまっているので、地盤改良も行います。
修復には古材を最大限に利用することも今回の大きな改修の特色として
アピールされていました。木造の平屋建で、屋根は入母屋風の建物は
出入り口の上部の三角の壁飾りを設け、屋根とデザインを揃えています。
建設当初は灰色の壁面であったことも改修を通じて分かってきました。
1グループ毎に丁寧に解説をしてくださる文化・スポーツ課の中村さん。
この日見学来た方は一日で200人を越えたそうです!
現場は足場が組んであるので、屋根付近も間近に見ることができました。
色が濃いものが古材、薄いものが新しい部材です。後世がどの部分を
改修したか判明できるように全ての箇所に焼印を付けています。
古材を研磨していくと、建物がどのような色身であったかが時代ごとに
判明することができます。
基本は釘を打っていきますが部分によっては腰掛鎌継ぎ、雇いホゾなど
宮大工の技術を取り入れた修復をしている箇所も多くありました。
同日午後16:30〜21:30は宮原坑ライトアップに参加しました。今回で
4年目を迎える宮原坑ライトアップは、教育委員会とNPO法人おおむた・
荒尾炭鉱のまちファンクラブによって行われています。今回は来場者に
温かい飲み物を振る舞ったりするサービスと、アンケート収集も行いました。
長時間、屋外での来場者誘導は身が芯から冷えるようでしたが、星空に映える
宮原坑と、炭鉱遺産を大切にしている方々と活動できる時間は心温まる
ひとときでした。