2011.12.09(金) 熊本県菊池市の職人集団『菊池たてもの応援団』と、まちづくり集団『文化資源研究会』による、第1回視察研修に、研究室から呉さんと塚本が同行しました。
AM10:00に、福岡県八女市役所駐車場に集合の後、『横町町屋交流館』にて、中島孝行先生と息子さんによるレクチャーから始まりました。
ひと目で菊池からとわかります。
藤原先生による町の説明です。
『横町町屋交流館』です。
中島先生です。
『横町町屋交流館』はギャラリーであり、資料室であり、集会所でもあります。平成9年に江戸時代に建てられた酒屋を整備した建物です。
ご存知の方も多いと思いますが、中島先生は建築家として、八女市の歴史的町並みの保存再生・修景等を先導してきた方です。NPO八女町並みデザイン研究会代表のみならず、八女ふるさと塾の代表もつとめられています。私は、以前公開講座でも受講しましたが、伝建地区という言葉にも馴染んできた今聞くと、また一層身になるのを感じます。修理、保存、修景の違いもわかってきました。
修復済みの高橋宏家、修理中の許斐家などを中島先生の案内で見学しました。
高橋家のメーターや、郵便受けまで・・・。
八女茶の茶舗 許斐家です。
柱の根継ぎの技です。
午後は改修中の『堺屋(旧木下家の離れ)』。ここでは足場にも上がらせていただき、棟札などを詳細に見学することができました。なかなかできない体験です。菊池の職人さんたちの専門的な質問が飛び交っていました。
『離れ』をすっぽり屋根で覆っています。明るくて作業がしやすいそうです。
足場の位置や高さも工夫してあります。
棟札です。この修理が終わったら新たに棟札を作るそうです。
その後、バスで福岡県うきは市吉井町に移動し、うきは市生涯学習センターにて、うきは市文化財保護係の石井さんによるレクチャーを受けました。
うきは市吉井町は福岡県で初めて、重要伝統的建造物群保存地区に選定された地域です。
地元の建築士会からも金子先生はじめ6名の方々にご参集いただき、菊池側からの熱心な質問に丁寧に回答していただきました。
うきは市では、町並み設計士会が、町並み保存計画にあった基本設計相談を無料で行ってくれます。
この町並み設計士会とは、うきは市在住の建築士の有志で結成。筑後吉井伝建地区の修理・修景事業の建設・設計活動に関する専門検討組織です。
7月、8月、9月の毎週土曜日、13:00~15:00まで「生涯学習センター」で相談を受け付け、実際に行うかどうかは審議会を通ってから決定します。多い時では年に15棟から20棟手がけていました。
また始めて10年くらいは毎年、行政と一緒に全国の伝建地区を訪ねて、勉強を続けていました。
そういった経験豊かな先生方に、業者の事業登録の範囲はどこまでか、官民の協力体制はどうだったかなど、現実を目の前にして、具体的かつ率直な質問がどんどん出て、時間がもっとあれば良かった・・・というくらいの内容の濃い時間を持てたと思います。
夕闇せまる中でしたが、石井さんと金子先生方のご案内で、町並みをざっと見学させていただくこともできました。
ここ吉井町は、明治の初期までに3回の大火に見舞われたため、耐火性のある土蔵造りなどの家構えや町並みに変化していきました。またそれに加え耐震性貯水槽や消火栓、消火器収納庫などの設置も怠りないです。
また、災害時、停電でも使える街路灯や公衆トイレなども整備されています。
電線の埋設化も進んだため、高さのある伝統の曳き山笠の復活も望まれているそうです。
通常であれば、日中の視察となるところでしょうが、徐々に暗くなっていく歴史的町並みに灯る明かりの風情を味わうことができ、深く感じいるところがありました。
お昼は、八女市の『旬菜工房 La Kinpuku tei』にて、カルパッチョ、キッシュに始まるご馳走ランチをレトロ感たっぷりのレストランでいただきました。
ビフォーアフターです。
かぶのポタージュ、ローストビーフもありましたよ。ご馳走さまでした。
塚本特派員でした。
第2回は12/23(金)に山口県萩市に行きます。これまた楽しみです!
菊池の皆さん、よろしくお願いいたします。