11月2日から6日にかけて開催された、天草大陶磁器展+街中ギャラリー。それにあわせて藤原惠洋研究室で展開した天草世間遺産写真展には、多くの皆様に足を運んでいただくことができました。
昨年にひきつづき、藤原惠洋研究室主催のもと行われた高浜、御領での世間遺産ワークショップで発見された世間遺産の数々が写真とエッセイに収められ、再び、天草宝島国際交流会館 ポルトの会場に展示することができました。昨年の本渡,牛深の世間遺産も合わせるとその数は500点におよぶほど。会場には可能な限りの数を展示しましたが、それでも半分ほどで埋め尽くされました。会場設営では、そのようにして2年にわたる「天草世間遺産ワークショップ」の蓄積を肌で実感することができました。
今年御領で9月,10月に行われたワークショップやシンポジウムの様子を知ると明らかなことなのですが、なんといっても今回、御領の世間遺産として認定されたものの多くが「石」の文化だというところが大きな特徴になりました。
本渡では陶芸の、牛深では港としての、高浜では天草陶石の、そして御領では石工の、といったように、それぞれにその土地や風土、人々の営みから築き上げられた生活文化を、もう一度見つめ直し、その価値を褒め愛して見せるという行為の中で、土地土地どうしが決してばらばらに存在しているのではなく、どこかで必ずつながっていて、支え合いながらこれまでの歴史を築いてきたことに気づかされます。
それは、写真展を見に来てくださった方々の反応にもみることができました。
わたしたちがこれまで見て来た天草の地は、全部が決して市民の方にとって馴染みのある場所とは限りません。 見終わって帰り際に、「天草にあんなところがあったなんて知らなかったわ。」とか、「普段全然訪ねることがないから、そういう場所のことを見れてよかった。」など、おっしゃってくださる市民の方が何人もいらっしゃいました。
その気づきや発見のきっかけに、この写真展は存在するのだと思います。わたしたちの視線は全くのよそものの視線なのですが、だからこそ見えてくるものやおもしろいと思う部分をお伝えすることが、つぎには、住み暮らす土地の人たちの見つめ直しにつながると、もっとたくさんのモノゴトが再発見されていくのではないか、と思います。
この世間遺産というまちを見つめ直す視線が、次に起こすアクションに注目すると同時に、継続してこの視線を持ち続けていきたい、そのように感じました。
[D3 nakamura]