建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

20111028()

学部生後期授業[芸術文化企画論]の授業の一貫として大牟田・荒尾
近代化遺産フィールドワークを行いました。
DSC04847 

今年も藤原先生が教鞭を取られる芸術文化企画論は、各地域の多様で
包容力に溢れたアーツ
(文化資源)を活かしながら、市民が主人公となる
次世代型のアーツマネジメントを体験的に実践するものです。今回は日田、
菊池、天草、万田の
4つのチームに別れ、様々なプロジェクトを実施しています。
 

チームMANDAは、日本の近代化をエネルギーの側面から支えた炭鉱遺産、
とりわけ国指定重要文化財であり世界遺産登録を進めている「九州・
山口近代化遺産群」の万田坑のガイド育成するプログラムを組み立てています。

元炭鉱マンなど当事者によるガイドはとても貴重なものですが、高齢化,
需要の拡大、市民が伝える文化となるべく、市民ガイドの育成が求められています。
チームMANDAは市民ガイドに役立つマニュアルブックを作成する予定です。
履修生希望者で、一日大牟田・荒尾の近代化遺産を見学してまわりました。


スケジュール
8:30  
九州大学大橋キャンパス 出発
10:00 大牟田市石炭産業科学館
11:30  港倶楽部
12:20  三池港
13:00  高専ダゴ
14:00  宮浦公園
14:40  宮原坑 
16:00  万田坑 
19:00  九州大学大橋キャンパス到着  

 

大牟田荒尾にまたがる三井三池炭鉱は江戸時代から始まった炭鉱が、
官営から
1889年三井財閥に払い下げされ始まりました。一時年間
657万トンの出炭を誇る炭鉱でしたが、エネルギー革命や輸入炭との
価格競争などにより
1997年閉山となりました。現在はそれらの遺構を
活かしたまちづくりが地域でさかんに行われています。
大牟田石炭産業科学館では、石炭や炭鉱が何か、ということを学びます。
DSC04852遺構からでは把握することができない仕組みや歴史などが映像や展示物によって
理解できる場所です。
DSC04856港倶楽部は接待や外国旅客船員の宿泊先、迎賓館として用いられました。
1819世紀のイギリスで生まれたハーフティンバー式の建築は、当時の
日本人の西洋への憧れや国際交流拠点として機能していた面影が伺えます。

 DSC04859

三池港は石炭の積み出しと輸出を行っていた場所です。初代リーダーであった
團琢磨が6年の歳月をかけて造ったドッグは
100年経った今でも現役稼働している
日本唯一の港湾です。

お昼ご飯は高専ダゴ。夜勤明けの坑夫を寝かせるために、子どもを外で
食事させておく場所として愛用されていた側面もありました。

 

DSC04860DSC04861

午後はメインとなる元採鉱場所、宮浦石炭公園と宮原坑、万田坑です。
宮浦公園は元の坑口場所が景観公園として保存されています。大牟田市にある
宮原坑は主に囚人の強制労働場所であったところです。近隣の三池工業高校には
集治監跡である煉瓦の高壁も残っています。
DSC04867DSC04873
 




postcard万田景観DSC04877DSC04876万田坑は1997年まで排気竪坑として機能していました。石炭を上げていた
第一竪坑は現存していませんが、捲き上げ機室、ボイラー室、安全灯室、
浴室などが残っており、仕事場の様子を把握するにとても良い状態で保存
されています。万田坑ではチーム
MANDAのメンバーによる練習ガイドも
行われました。終日ご案内くださったのは万田炭鉱館勤務の永吉守さんです。
北海道からは炭鉱の記憶推進事業団の佐藤真奈美さんも来て下さり、
丁寧に遺構を見て回る機会となりました。本当にどうもありがとうございました。

 

113()は近代化遺産一斉公開デーです。チームMANDAのメンバーも
参加する予定です。炭鉱のことを把握するのはなかなか難しい部分もありますが
チームのみなさんと、地域の魅力を語ることの大切さに気付いていきたいです。
 







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