建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

201192224

熊本県天草市御領地区にて「天草知ろう!御領地区世間遺産フィールドワーク」
が藤原惠洋研究室主催、天草市五和町支所共催で行われました。
 DSC04458

御領地区を3日間にわたって歩き、まちをつぶさに見つめ、まちの魅力
「世間遺産」を拾い上げていくフィールドワークです。

世間遺産は地域独特の文化、住民が生活する中で生み出してきたようなもの、
手技、風景、暮らしの様子や魅力を指します。世界遺産のように厳しい規定を
越えたものだけが大切なのではありません。たくさんの愛着や知恵や歴史や
営みが凝縮されているものはごくごく身近にあるものです。


今回は世間遺産のプロ、写真家の藤田洋三氏と
NPO法人まちづくり地域
フォーラム・かごしま探検の会
東川隆太郎氏がアドバイザーとして集結して
くださいました。
 
 

学生は皆御領地区を訪れるのは初めてでした。福岡から約4時間で御領に到着。
DSC04450 

DSC04459初日は九大生と藤田洋三氏、五和支所の方で歩きました。二日目は御領の
山下繁先生、地域の方々、御領地区の方々横浜国立大学のまちづくりインターン生
が加わり、三日目は東川隆太郎氏と奥様のみわさんが加わりまちを見て歩きました。

御領は昔造船業や石工が栄えた場所でした。長崎のグラバー邸やオルト邸、
大浦天主堂を建てた大工棟梁小山秀乃進を輩出した小山家の住んでいた町です。
「御領石」と呼ばれる
9万年前の阿蘇の溶結凝灰岩を用いた石垣、祠、鳥居、
仏像などが町じゅうで見られる大変貴重な場所です。馬場の石橋、岩谷観音、
豪商石本平兵衛の屋敷と石垣、芳證寺、浄専寺、小山家の墓、つぶき、
西島石碑店、丁場
(石の切り出し場)、民家の石垣などを見て回りました。
DSC04460 DSC04598

DSC04621DSC04622100年以上前に積み上げられた石垣は、高度な技術に支えられ、堅牢な姿で
人々の生活を守り、風景を美しく魅せています。
10種類以上の積み方、
水平に切り出した石を積み上げる技術、墓石の細かな装飾、田畑を守るための
機能をもつ石垣にはただただ驚きと感心するばかりです。

御領町に住む山下繁先生にご案内いただき、建築のプロの藤原先生、
写真家で世間遺産のプロ・藤田洋三氏,溶結凝灰岩と世間遺産のプロの
東川隆太郎氏の知識は溢れるばかりでメモを取る手は必死です。山下先生からは
御領のまちの歴史を、藤原先生からは建築技術を、藤田氏からは日本の歴史や
暮らしの文化、東川氏からは御領石についてご教授いただきました。
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 DSC04543

DSC04570DSC04573DSC04582DSC04625DSC04665DSC046703日間に渡って,参加した学生はまとめレポートを全員で作成しました。
成果は五和町支所に展示される予定です。


10
22日(土)〜23日(日)にかけて開催される御領石竹宵祭りの会場
(五和コミュニティセンター)にて今回の成果を「天草御領世間遺産写真展」
として展示します。
1023日(日)午後は藤原惠洋先生、東川隆太郎氏などを
講師とした「御領まちづくりシンポジウム
2011」が開催されます。

 


 

御領石・・・9万年前に噴火した阿蘇の溶結凝灰岩。黒くさらさらとした
肌触りの石は柔らかく加工がしやすく熱や風化に強いのであらゆるものに
多用された。きらきらと光る大小の粒が見られるのは、火砕流が海を渡って
来る際にシリカや軽石など海のものが混ざったからである。

 

石工の技術・・・日本には約15種類の積み上げ方がある。平積み、野面積み、
あじろ積み、のも積み、亀甲積み、段積み、谷積み、三位積みなどなど・・・
御領ではおよそ
10種類の積み方が見られる。平らに切る力、道具を使い模様を
付ける技法、適材適所を見極める力、道具の手入れ、山から石を切り出す技術、
運搬の技術などなど沢山の知識と経験と鋭い感覚が必要とされた。



[D2 國盛] 

 

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