建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

2011年9月16 19:00〜20:40

2011年度福岡アジア文化賞芸術・文化賞を受賞されたニールズ・グッチョウ博士を囲む文化サロンが
福岡市赤煉瓦文化館で開催されました。
グッチョウ博士は本日午後、地元の学校訪問を行いました。双葉女子学園中・高校で多くの生徒を前に講演を行いました。
その後、続けて建築専門家を対象とした文化サロンが開催され基調講演を行いました。
その後、東京から駆けつけてくださった日本工業大学波多野純教授、筑波大学大学院教授稲葉信子先生を交え、幅広い観点から意見交換を行うことができました。

 DSC04376


開会冒頭に、コーディネーターを務められる藤原先生からグッチョウ氏のご紹介がありました。

1944年、氏はドイツ人の父とポーランド人の母の間にお生まれになり、
戦中の両国の複雑な関係を目の当たりにしたグッチョウ氏は、国に捕われない
国際的な活動をしたいと大学進学以前に国外へ、若者らしい真摯な態度でアジア各地を遍歴しながら積極的な体験を行われるようになります。
驚くべきは、まず高校卒業後からミャンマーへ渡り、18歳から20歳までの3年間にわたって仏教の
僧修行となりました。その後、大陸をバスを乗り継ぎ移動しながら、シンガポールより船舶で香港、横浜と経由しながら日本へ辿りつきました。
それはなんと日本にて伝統的な城郭や仏教寺院の保存修復の現場に宮大工の見習いとなって入るためでした。
大工の見習いとなり、犬山城保存修理や高野山金剛峯寺の堂宮の再建現場を体験します。
その後、ドイツへ帰国しダルムシュタット工科大学で建築学を納めた後、ドイツとネパールの二国間協定に基づいて、ネパール・カトマンズの郊外バクタプールへ入り、1934年大地震で崩壊して以来の王宮や宗教施設の保存修理・再生事業へ関わっていくようになりました。
爾来、およそ40年間に渡ってネパールの生活文化、宗教、祭礼、建築の保存継承に
ご尽力され、それらの営為がネパールのみならずアジア全体の建造物の保存修理事業や歴史的町並みの再生に大きな影響を与えるもとして、今回は評価されたものです。

DSC04379 

講演では、祖父が有していた根付けをきっかけとして、若い頃から興味関心を抱いた日本文化について学んだこと、ネパールでの取り組みなどを幅広くわかりやすく、時にはウィットを交え、グッチョウ博士の半生そのものをご紹介をいただきました。

1968年に建築史家の伊東ていじ氏が唱えた日本のデザイン、デザインサーベイの書籍から特に影響を受けた日本の庭園空間、建築空間を紹介されたのは印象的でした。
「折れ曲がり」という右折左折の多い空間構造や「隅み掛け」という
対角線に動線を作り逸脱のある空間構成は日本独自のものです。

DSC04383
かつて日本は川で洗濯や料理の準備をしたり、井戸から水を汲むなど、
共同の生活空間を持っていました。それらは重要なコミュニティ空間でもあり、
小さな小さな空間は、実は都市の構造にも影響を与えているのです。
これらは「拠点とひろば」として紹介されました。


拠点とひろばという概念が紹介される時、一枚の川で作業をする女性の写真が
現れました。洗濯をしてるような後ろ姿を見たとき、「あっ!」とある写真を
思い出しました。今年7月に藤原研究室、日本全国スギダラケ倶楽部、
JR九州の方々や高木富士川建設の方々と熊本県天草市高浜地区の地域再生を
考えるフィールドーワ—クを行いました。その中で高浜地区の郷土史家の方が
見せてくださった一枚の写真にそっくりだったのです。高浜地区は以前石垣や
石畳が多く、特に石畳は生活排水をろ過する機能を持っており、女性はそこに
集って排水を流していました。その石畳はもうなくなってしまっていましたが、
どの地域においても小さな小さな、けれども誠実な生活の営みが、都市の形成に
関係し、また文化として残っていることを知りました。それらを大切だと唱え、
小さな小さな営みをしっかりと受け止め、地域を紡ごうとしている方々
がいるのだと思うと、涙が出る程感動しました。DSC04386

 

伊藤ていじ氏著より
ピクチャ 1
高浜にて 郷土史家の松本さん写真
 


ネパールの文化についてもご紹介いただきました。二年おきに行われる
祭事の様子や、祭事が都市の中でどのような動線を描き行われているのか。
都心と農村の営みが混在している様子も伺えました。グッチョウ博士の研究室の
学生は、ネパールにて3週間でネパールの伝統的な技法を使って塔を建てる
実習をされるそうです。毎朝現場でミーティングを繰り返し、現地の職人さんと
交流する中でオリジナルの煉瓦を作ってもらい、技法を学び、その土地の泥で
モルタルを作る。技術や文化を知らないまま、建築の保存修復は不可能だと
いうことを身を以て学ぶことのできる実習だそうです。

 

DSC04389
 
 

DSC04390

DSC04391DSC04394
グッチョウ博士に続き日本工業大学教授・修復建築家である波多野先生からも、ネパールの建造物の保存修復再生の領域にあってグッチョウ博士の活動がどれほど先駆的な活動であったか、ということをご紹介をいただきました。
さらに文化財保存修復の現場の最前線を、筑波大学教授で
日本ユネスコ国内委員会会員の稲葉信子先生よりお話いただきました。

 

DSC04400

DSC04401DSC04402
文化サロンの後には聴衆のみなさんとの懇親会が開かれ、参加者の研究分野についてグッチョウ氏から
アドバイスをいただくなど、大変貴重な時間になったと参加者の方にも
喜ばれる時間となりました。

[D2 國盛] 

 

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