建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
金澤一弘さん 当代とはこの丸尾焼五代目窯元のこと。
金澤祐哉くん 宏宜くん 尚樹くん 次代とはこの金澤三兄弟のこと。



私がたいした手相見ではないにしても、この当代と次代の丁々発止の対峙や挑発を見ていると、不思議な四者四様の相だと思わざるをえない。

無論、江戸以来の窯元としてつとに知られた丸尾焼ゆえ、そこには重厚な天草陶石の伝統や文脈をベースとしながらも、押しつけられるであろう材料や技の制約の中から満身創痍の努力で飛びだそうとする思案や企てが溢れており、溌剌とした模索が感じられる。

それでいてとどのつまり丸尾焼の伝統なのか文脈なのか、ほおーっと気づく通底するなにかが流れており、お互いにもたれあわない、決して依存し合わない、むしろ相互触発や対決や挑発に溢れた関係性が見て取れる、それゆえの素晴らしい作品展構成だと思ってしきりに納得がいった。

それにつけても五代目金澤一弘氏は、島田美術館の半屋外の風が吹く椅子に陣取り、タバコをくゆらせ、多数の面会者との時間をゆったりと過ごされていたが、これがなにかを生み出す際の創造者とも言える彼の最も真摯な態度なのだと思った。

帰宅後、彼の一文をブログに見つけて合点がいった。当代と次代、いつかは来るであろう世代交代や人間としての新陳代謝を予兆しながらも、精一杯今を生きることをともに展開しようではないか、という壮大なメッセージが隠されているのだということに気付かないではいられない。
(藍蟹堂記 )
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金澤一弘さんのブログから


島田美術館で考えたこと 2011年7月21日

 熊本の展示会に昼から出掛けた。今回は息子達中心の展示会なので、私はあまりでない方が良いと思ったので、出来る限り彼らに任すことにしていたのだ。陶芸の展示会は様々な人が来るので勉強になる。私は陶芸家の中では経験値が高くなってきたので、あまり私に意見をする人はいない。今更何を言っても聞かないだろうと言うことだろうが、息子達はまだ若いので色々な意見を言って貰える。そばに私が居ると、流石に話しにくいだろうというのが私の思いでもある。人に見て貰う事は若い作り手にとって願ってもないことだ。展示会は自分が美しいと今の時点で思っているモノを並べる機会だから、その事を追求していけばよい。若いときにはあまり他のことを考えなくても良いので、自分の意識を追いかけた方が上手くいくことが多い。私のところは3人兄弟なので、それぞれが自分が美しいと思うモノを展示して、それを人に見せて、色々意見を貰い・・・次の展開へと繋いでいくということで良いと私は考えているのだ。私の祖父が亡くなる直前によく言っていた言葉がある。それはモノ作りという仕事は形の完成を目指す仕事だという言葉だ。人には本来備わっている型があるというのが祖父の考え方で、人の人生とは備わった型を創り出すための戦いであると言う意味だ。

 勿論それは単に陶芸と言うだけでの意味でなく、人生という行為自体にも生まれたときに備わったものがあると、祖父は話をしていた。つまり、人は生まれたときに既に型は決まっていて、その方を追い求めて生きていくと言うことだ。何故兄と弟の作るものが違うのか・・・それは持って生まれたものがあるからで、そこから経験を経て更に自分の型を捜すことになる。生き方にもそれは現れるし、人との関係にも表れる。陶芸家という仕事はその瞬間瞬間に自分の型を追い続けなければならないし、その結果として作品が存在する。若いときに重要な事はケレン無く自分が美しいと思う形を作ることであり、作り上げた作品を人前に並べてみて貰うという作業を、どれだけ続けるのかと言うことに収斂すると私は考えている。そう言う意味では今回の展示会は良かったと思うのだが、あまり親爺が出しゃばりすぎるとどうかと思う。勿論私の出不精という人格的な問題もあるのだが、いくつかの用件が重なって突発的に熊本に行くことになってしまったのだ。昼からの出発になってしまったのは注文の作品が窯に入っていたからで、窯から出るのを末間に時間が掛ってしまったのだ。

 展示会にも特異日のようなものがあって、昼から実に様々な人が作品展を見に来ていただいた。私が特に仲のよい人達がまとまって来てくれて、そのこと自体にも驚いた。美術館に到着したのが午後2時少し過ぎた時間だったが、それから夕方までひっきりなしに知り合いがやってきて、色々な話に花が咲いた。私は展示会場には殆ど居なくて、気持ちのよい風が吹く中庭の喫煙所に陣取っていたが、久しぶりに会う人達と色々な話が出来て、とてもよい時間を過ごすことが出来た。息子達も古い私の知り合いから色々と話をして貰って、刺激を受けたようだった。我々にとって展示会の始まりは次の展示会へ向けたスタート地点でもある。人の話も取り入れ、どうあればより高い次元での表現が出来るのか・・・情報をゲットするチャンスでもある。特に若い頃には人とのちょっとした話にチャンスが潜んでいたりする。焼物の家に生まれたからと言って、まだまだ情報量を沢山持っているわけではなく、これからどんどん知識を吸収しながら、次のステップへ進んでいかなければならないのだから、展示会はアウトプットの舞台でもあると同時にインプットの舞台でもあるのだ。

 私も次の作品についてのアイディアを模索している。大まかなことは出来はじめているのだが、次の作品をどうやって作るのかについて、様々な方法がありそうなので、それをどう展開するのかを考え始めている。勿論もうひとプロセス有ってから次の提示をする方法と、いきなりというやり方があると思う。何れにしても頭の中に型チが出来はじめているので、それはそれで面白いのだが、今頭の中にある形を何処で発表すればよいのかを考え始めているのだ。かなり大掛かりな作品になると思うので、そのための準備も必要だし、スタッフの手配も重要なポイントになるだろう。今回の展示は私の場合あくまでも初期提案のようなもので、この仕事をこれからどう育てていくのかに比重が高まっている。それがものを作る楽しみなのだと、展示会場を後にしながら考えていた。私はよく自らが何処から来て・・・今何処にいて・・・今から何処へ行こうとしているのかと、考えることがある。祖父は型の完成を目指すことを生涯の目標とした。言葉は違うが、それは私が使う言葉と本質的にはよく似ていると思う。私の中には私にしか作れない形が存在していて、それを私は掘り起こしたいと考え始めている。そして、恐らく、それこそが私のこれからの仕事になるのだろうと考え始めている。

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