2011.5.31.(火) 16:30〜
2011年度 第6回 ふ印ラボ 定例ゼミ
参加者:仲村、國盛、北岡、トウケイ、與田、市原、三浦、平川
司会:仲村、記録:平川
1.報告
◆5月20日(金)九大ラボ「シタンキャ」開所式
(三浦)
17:00~ 開所式、60名ほどの人々が参加。藤原先生による、建物の外観や内部の説明。
19:00~ 基調講演
さまざまな業種、分野の方が参加。懇親を深める中で、「こういう空き家の使い方はいい」という声が聞けた。菊池市の方も参加、日田の方とお話をされていた。シタンキャが、まさに出会い・交流の場として機能し始めていた。
◆22日(日)学部授業「芸術文化環境論」日田川開き観光祭
◆23日(月)学部授業「芸術文化環境論」 三浦浩子さんゲスト講師「やねだんアートプロジェクト」
◆ 26日(木)直方駅舎調査
(仲村・國盛)わずか2時間の調査だったが、地元の保存活動団体の方に親切をいただきながら無事終了することができた。調査の結果は、藤原先生によりまとめ、報告が行われる。
◆28日(土)公開講座 日田における文化財と文化資源探訪
◆30日(月)学部授業「芸術文化環境論」熊手敏之さんゲスト講師「テレビ番組のつくりかた」
2.審議
◆HPの充実、ブログの更新
三浦さん、市原さんのプロフィール作成。ブログは記録、レポートとしての意義を果たすということを意識すること。
◆フィールドワーク参加希望の確認,参加費用の徴収等
(國盛)6月 13日 博多座大歌舞伎鑑賞、102名が参加予定。
◆備品購入・研究費徴収について
(國盛)インクに関しては、注文完了。事務用品は、各自でそろえること。
3.研究進捗状況・発表 [修士研究中間報告]
◆トウケイ(修士課程1年)
「南京市高淳県花観光農業公園基本計画および今後の研究計画」:大学時代の卒業研究の紹介と、今後の修士研究計画について発表を行った。
《大学時代の卒業計画》
研究テーマ:「南京市高淳県花観光農業公園基本計画」
高淳県は、南京市の南部に位置する。自然環境が豊かなところ。人口は43万人。テーマは、同地における、文化・娯楽・農業・観光を融合した体験施設によるまちづくり。都市部の住民の「癒し」を求めるニーズや、食と農への関心の高まりを踏まえ、同地の、自然豊かな環境を生かし、農園やふれあいの場等を整備、都市と農村地域との交流を深めるための場を目指す。農村地域の活性化、また観光の振興を図りたい。
具体的な構想は以下の通り。
・水源から水をひき、池をつくる。
・温室をつくって、そこを農業学習の場にする。
・動物とのふれあいの場をつくる。都市部の人は、あまり動物と遊ぶ機会がないため。
・果物栽培における循環型農業の促進。鳥が果物を食べ、そのフンが栄養となる。
・農業レストランの営業。敷地内でとれた野菜をつかった料理で、ふるさとの味を提供する。
《修士研究の予定》
研究テーマ「日中の庭園観の比較考察~伝統的な庭園の空間構造の分析を通して~」
・研究の目的
日中の伝統的な庭園の空間構造の分析を通して、日本と中国の庭園観を明らかにすること。
・研究内容
1.「園冶」と「作庭記」の比較
「園冶」とは、中国最古の造園技術書。一方、日本最古の造園技術書と言われているのが、平安時代に書かれた「作庭記」。この二つの造園書の比較を通して、中国と日本の庭園の空間構造の比較を行う。
2.日中の代表的な庭園を選び、庭園の構成要素を比較分析する。その際、現地調査で実測を行う。
・質疑・意見
(三浦)現段階で、結論がどのようになるか、なにか考えていることはあるか。
(トウケイ)中国と日本庭園の空間構造については、似ているところもあるが違うところもある。でもまだはっきりと言えない。とにかく実測を行いたい。
(三浦)結論はこう書きたいというビジョンがあらかじめあるのなら、結論にそうような事例(庭園)を選ぶというのも1つのやり方かもしれない。
(藤原先生)
これまでの庭園研究者がどのような研究をしてきたのか、先行研究を把握する。またそこから成果を借りたりつなげたりを行いながら、またときには、批判を行い、そして、自分の論を展開していく。白幡洋三郎の著作は読みましたか?白幡洋三郎はどのような研究を行ったのですか?
対象として、日中の代表的な庭園を選ぶ際も、どの庭園が研究対象とするに値するか、自分の判断で選ぶ以前に、先行研究者の例をくみ取る必要がある。
庭園の現地調査、実測を行うにしても、一人ではやりとげることはできない。研究室メンバーを中心とした研究会の立ち上げも考えるべき。
また、修士課程においては、学会での発表も必要とされる。そういったことも頭に入れて研究を進めていくように。
◆ 北岡慶子(修士課程2年)
「公立文化施設-地域における劇場のあり方」
・ 公立文化施設の現状
公立であるからこそ、広く市民に開かれていなければならない。しかし、必ずしも開かれているとは言い難い現状。
・劇場法に関する議論
1.全国の劇場の階層化。劇場を、「つくるため」「みるため」「交流のため」といった役割でわけるようにする。
2.助成制度の見直し
劇場自体に助成金を出すようにする。そうすることで、文化芸術活動団体の活動を継続的なものにさせる可能性が生み出される。
・ 今後の展開
地方都市における公立文化施設の包括的な運営について実態把握と、今後の文化芸術マネジメントの方策を検討する。
そこで、日本と欧米の文化芸術の認識の違いを踏まえた上で、日本の地域にとって、どのような文化芸術のあり方が適しているのか考えたい。その際具体的な例として、九州の公立文化施設を取り上げたい。
・質疑、意見
(北岡)身近な文化施設が「つくるため」「みるため」「交流のため」、どれになってほしいですか?
(仲村)例えば、私の近所の公共文化施設について、現状を考えると、「みる」に特化せざるをえないように思う。ハードそのものに可能性を見いだせない。
(北岡)そもそも日本の公共文化施設というのは、「貸し館」ということを念頭につくられている。そのためこれまでの施設では、「つくる」ということは確かに考えられていなかった。
(國盛)しかし、建物や設備が古いというだけ、見合わないというだけで、例えば「つくる」や「交流する」といった可能性をつみとってしまうのはもったいないように思う。なにか人を使ってのバックアップの方法はないだろうか。
(平川)私の地元で今公共文化施設が巨額のお金をかけて新しく建てられようとしているが、そんな議論があったことさえ、市民の多くは知らなかったように思う。反発する声も多い。今後、そういった声も含め市民の声が反映されていくとしたら、その結果、どういった施設になるのか興味深い。この流れは、今、北岡さんの研究にとって、タイムリーのもののような気がする。
(國盛)山口県には、「秋吉台国際芸術村」という芸術文化施設がある。一般的な文化施設とは違って、アーティストが滞在して創作活動を行い、またアウトリーチ活動など、地域に開いた形での運営がされている。こういったようなものを劇場にも転用できないだろうか?
(市原)小さな地方都市で施設を使う者からすると、劇場法の考え方は、大都市からの発想のような気がする。「つくるため」「見るため」「交流するため」とわけても、うまくいかないのではないか。なんでも、機能的な面だけではうまくいかないものだ。日本の地域の住民は実に多彩。地域の文化が生き続けていくような運営を望む。
(平川)