建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

2011.5.20. 万田坑にて講演会

IMG_08122011.5.20.熊本大学文学部 総合人間学科の学生さんが、授業の一貫で
大牟田荒尾の三池炭鉱産業施設群を見学されました。万田炭鉱館にて、
元炭鉱マンの堀内さんに当時のお話をいただき、また私も炭鉱をテーマにした
アートプロジェクト研究のお話をさせていただきました。

三池炭鉱での当時の生活の様子が語られます。

堀内さんが勤めていた当時は毎朝4時半にサイレンが鳴り、
ただちに仕事場に行かなければならない生活でした。毎朝毎朝サイレンが
鳴り響くので、とうとう昭和49年には万田坑の放火事件が起こってしまいます。
朝4時半になるサイレンを煩わしく思った受験生がサイレンの元手である
万田坑を放火したのです。
 

その万田坑の地下は、坑道が続き、石炭を掘るための道が大牟田の町中で
全部繋がっています。三池炭鉱は石炭を1t掘るためには水を10t排水
しないといけない環境であり、長い間苦労を重ねていました。その他にも
多くの事故で人が亡くなりました。483人の人が亡くなってしまった
炭塵爆発事故もありました。三川坑は12台のベルトコンベアがつなげられており
その段差による振動で、トロッコに積まれた石炭がこぼれ落ちてしまいます。
その小さな屑の蓄積が、トロッコの摩擦熱を爆発にしてしまったのです。
鉱山救護隊が発動し、酸素ボンベと共に、四ツ山坑などから救護にあたりました。

堀内さんご自身も炭鉱の坑内の中が燃える坑内火災を経験されました。
当時、ちょうど宮浦坑から良い空気を取り入れるために掘っていたトンネルが
あったので、とっさに思い出しその道へ抜けて、命拾いをされました。
 

このようにして命がけで採炭された石炭を製品にする場所は、今の大型
ショッピングセンター大牟田youme town跡地の「三井三池製作所」
という所でした。炭鉱マンが住んでいた原万田社宅は現在のロックタウンと
なっており、その土地はぼた(製品にならない採掘の残骸)を埋め立ててできた
場所です。まちの風景は刻々と変わっています。

このような当時の暮らしや仕事について、また労働争議についても詳しく
お話くださいました。



続いては私の、産炭地で行う炭鉱をテーマにしたアートプロジェクト活動の
紹介を行いました。大学4年生の時に始めた、石炭を絵具にした参加型
ワークショップや、東京でのCoalmie Lab.グループとしての活動、
秋田県、北海道での展覧会やイギリスでのワークショップの様子などです。
ピクチャ 3

2009 秋田県 ゼロダテアートプロジェクト [159]

「これから将来はどのような表現へと向かうのですか」「各地での活動から
見えてきたものはありますか」といった質問をいただきました。これから
どのような表現をするか、というより、どんな活動をしたいか、と自分に
問う感覚の方が言葉としては近いです。自分が故郷に愛着を持ち、また同じ様な
背景をもつ人々と共にそのプロセスを味わうようなことをしたいと思っています。
どうすればそのようなことができるか、その方法がのちに表現となっている
気がします。故郷や地方は、経済面や情報の量や最新性では都会に劣りがちですが
自分の暮らしに愛着を持つ生き方はむしろ十分に可能で、その暮らしを
一人一人が実現できることは過疎を少しでも留める方法になると思っており
そのような事に貢献したいという気持ちでいます。


各地で活動して感じたことは、同じような背景で有る事から土地同士の
関わりが深まりやすいこと、親和の中で見える各地の相違点こそがその土地の
独自性であり、まちづくりのブレイクスルーになる可能性を持つ資源ではないか
ということを思っています。そのような発見と活用を見出すために、
たくさんの人々が各産炭地に出向いたり、交流できるような場作りを
アートとともに行っていきたいと思っています。

(D2 國盛)

 

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