建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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大変遅くなりましたが、

2011318日(金)に神戸大学で開催された

「アートマネジメント若手フォーラム in Kobe」についての参加レポートを記します。

 

金沢21世紀美術館館長の秋元雄史氏が講師としてアートマネジメントを学ぶ学生、若手たちに秋元さんの経験をお話しいただいた後、学生オーディエンスも交えての議論という内容でした。

ちなみに参加する前に、秋元さんについての事前学習会が開催されたり、宿題が出たりと、参加者たちは今回のフォーラムに向けて意識を高めていきました。

この「アートマネジメント若手フォーラム」は、今回で3回目の開催となります。

1回 別府アートマンス2010での「混浴学生世界」

2回 神戸大学文化制作学会での若手フォーラム

 

学生が自由闊達に議論・交流する場、研究発表&フリーディスカッションの場として開催されてきました。

 

 

始めに過去2回の報告から始まり、これまでに学生たちが積み上げてきた議論も、神戸大学の学生たちから紹介され、さらにそこから秋元さんの講義を通して議論を深めていきます。

 

秋元さんからの講話の始めに、一週間前に起きた東北での震災についてのお話しがありました。

被害が大きく拡大し、復旧には何十年もかかるのではないかと言われている。自然災害により、人間が築いてきた文化が一気に壊されてしまう。さらにそこに原発等の問題ででややこしくなる。

文化はどう在ることが良いのか、難しいところだ、というお話しの最後に、

できることはやるつもり、という秋元さんの力強い言葉を聞かせていただきました。

 

 

本題のひとつめのテーマは「工芸」でした。

日本の工芸を巡る環境に付いて、さらにはアートの中での工芸についてのお話しです。

 

日本には、伝統工芸人間国宝、伝統工芸師、学術研究員と、工芸に携わる人の名称も分かれ、さらにはそれを管轄する省庁も異なる。

(現代ではさらにここにクラフトが入って来るとのこと)

日本の工芸は、縦割りで3つにも4つにも分割されている現状が有り、とてもややこしい。

 

今まで現代アートに関わってきたけれども、芸術のルーツや歴史性、それを自分のものとしてとらえるのはなかった。でも工芸は、どこまでも、日本とか生活とかと関わっている。それを見ないと行けなくなる。

経済とか政治とか、そういうものと結びついているもの。地方のことが中央と結びついたりする。それらを解きほぐして解決していくのはわかりにくい。

 

その流れを聞いても、工芸について私自身も認識があやふやになってきました。

それらの違いをしっかりと言葉として表現する難しさを後でお話しした際にも認識しました。

 

現代美術はやっぱり若い。これからのもの。一方、工芸は100歳を超えるようなもの。

でも、古いものだけど、そこからまた新しいものがでるような現象がちらほら出る。

壊れてもまた生まれる、ということが起きる。

このお話しでは実感するものが有りました。工芸、と呼ばれる作品たちがもつ洗練された美しさには、人の生活の中で生まれた確固とした美があり、存在し続けることは、私自身、感じ入るところです。

 

 

続いて、直島での取り組みについて。

ベネッセアートサイト直島での企画・運営をされてきた秋元さんの経験を、プロジェクトを通していくつか語って頂きました。

 

瀬戸内国際芸術祭については、実際は自分が直島を離れてからのプロジェクトではあったが、秋元さん自身も、助成をもらって、島の調査をしたし、島々の文化的ネットワークを作ろうとしたことなど、長期の視野で様々なプロジェクトを構想していたというお話しは興味深かったです。

 

また、実は構想していたものと実査に出来ていったものが変化していったこと、違和感を感じることも多々あったこと等、一見順調に進んでいたプロエクトでも、課題を常に持っていたというお話しでは、自分も様々なプロジェクトに関わる上で、大変参考になり、また常に意識していきたいと思いました。

 

 

直島に関わられていく中で、秋元さん自身が現場の事情に入りすぎるディレクターと思われていた側面もあるかもしれないというお話しが印象的でした。

 

直島ではある意味外科手術したようなもの。自分は内服薬的にしていきたかった。

誰のために地域はあるのか?まずは、そこに済む人たちのため。

家プロジェクトでも、ひとつ建てることを3年ぐらいかけてやったが、一つの作品を通す中で、どう住民と対話がしていけるか。交流型の施設を作りたく、手間をかけてやっていった。

住人が納得するから良いものとは限らず、あるところでは説得したり、対話したり、意見をもらったりして、時間をかけてゆっくりしていった。コンセンサスつくりのような時間をもったこと。

 

アートに携わる専門家として、どういう立場をとるのかはとても重要なことです。私も、大学で学ぶ者として、地域にどう関わるのか、何を提案していけるのかということはいつも考え悩むところです。

秋元さんの経験と、そのときの考え両方をお話しいただいたことで、さらに自分の立場というものを意識しました。

 

 

他にも、安藤建築という確固とした建築的な言語と、現代アートのもつ特性をぶつけていった。建築的解釈、美意識に、アーティストが持つ世界観をぶつけていく状況を出していったお話し、そこから、建築から出てアートを外に持ち出していった経緯など、興味深く面白いお話しをたくさんしていただきました。

 

この後はオーディエンスを交えた意見交換を行い、さらには懇親会へと続いて、参加者各々議論を深めていきました。

 

 

秋元さんの経験を通しプロジェクトを語って頂けたことで、アートプロジェクトの困難さや意義深さなど、たくさんの側面を見ることが出来ました。

また、経験を振り返ることの大切さも感じました。

最後に、金沢21世紀美術館の先の秋元さんの構想に付いても少しだけお聞かせいただき、聞いている私自身の期待も膨らみました。

 

これから、私自身も、わくわくするような構想を持って文化芸術に関わっていければと思いました。

秋元さんと神戸大学の皆様には、今回のような貴重な経験をさせていただき、心より感謝いたします。

 

M1 北岡慶子)

 

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