建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
新年の抱負を考えていたら、今年も私たち九州大学大学院芸術工学研究院藤原惠洋研究室は熊本県天草市の窯元丸尾焼(まるおやき)との、ものことひとづくり哲学と地域創造の共振作業を生み出しながら次世代型共同性の再生をめざすべきだと得心。何故かと理由を辿るならば、新年早々覗いたブログ・窯元日記こそ五代目金澤一弘さんによる日々の思索の足跡が強靱な言説として著されており、そこから湧き出る哲学と創造への示唆に感銘するばかりだから、なのです。

たとえば。
たまさか開けた実際のブログ言説を新年のものから勝手に二日分、抜粋のうえご紹介させてください。金澤さんが目の当たりにしている「市民」とは土仕事の日々に精進している工人たちなのだろうけれども、創造的な地域づくりやまちづくり、人材育成に向き合う私たちが考えなければいけない「市民」社会創造への課題や示唆がいかに溢れていることやら。私たちにとってヴィトゲンシュタインの論理哲学考から学ぶことと同じくらいにたいせつな言説、に違いないのです。

迷った時は思い出してみる 2011年1月5日

福岡で開催される、天草陶磁器振興協議会の合同展の準備を進めている。企画は別の人が担当しているので、私はノンビリと仕事に打ち込めるのだが、私自身の認識では合同展の時代は早晩終わりを告げるのではないかと思っているので、この合同展にこれから先どういう位置付けで参加するのかを色々と考えている。まず初めに合同展がどうして下火になるのかを書くと、恐らくこれから先は合同で展示会を開催するよりも、独自に展示会を開催した方が長い目で観ればメリットが出てくるだろうと思うからだ。確かに合同展は費用負担という点で考えれば、当分に経費を分配出来るのでメリットはあるのだが、その分売上も拡散してしまう。私のところのような若いスタッフが多く人数が多いところは、長い目で考えれば独自に展示会を展開した方が良いと思うのだ。

もっとも、合同展のメリットがないわけではない。工房独自に展示会を開催するよりもメディアなどへの露出度が高くなり、結果として多くの人に観て貰えるという効果が期待出来る。一軒の窯元が展示会をするより、合同で宣伝した方が認知度が高くなり、結果として見に来る人も多くなるのだ。昨年展示会を色々開催したのだが、今のところ独自に出展する場合と、合同展を天秤にかければ、同じくらいの成績である。独自展の場合・・・余り広報宣伝に力を入れることが出来ないのと、来てくれる人の選択肢がモノラルになりがちなので、合同展と比べて来場者が少ないのだ。来場者が増えれば売上も伸びるという原則を考えると、今の段階では合同展も捨てたものではなく、ましてや・・・遠方での展示会を考えると今の段階では五分五分と言えるのかも知れない。

今年の初めの合同展は福岡で開催される。福岡は私の工房が一番重心を置く都市で、福岡で知名度を高め、しっかりと仕事の出来る場所にしたいと思う。そう言う意味ではとても大事なところなのだが、はてさてどんな作戦を立てるべきかと、色々と検討してみた。このところ私は仕事の回し方がルーティンワーク化しすぎており、その結果として展示会に持って行く作品が同じようなものになっているのではないかという反省がある。いつもの作品を持って行くのは確かに一定の売上は期待出来るのだが、それ以上の売上という点で考えれば、余り期待出来ない。これから先の展示会で一番気をつけなければならないことは、レギュラーの作品ばかりが並んでいる展示会を続けても。一定以上の売上は期待出来ないのではないかと言うことだ。
そう考えたので、工房では新しい福岡へ向けての作品を作り始めている。レギュラーの仕事は年末ぎりぎりまで随分と積み重ねてきたので、あと10日間しか時間はないのだが、この間に出来るだけ新しい作品をつくって福岡に持って行きたいと考えている。余所の工房からすれば福岡で展示会をする場合はさんざん検討を加えて、ピンポイントで作品を持って行くのが当たり前なのかも知れないが、今の工房は在庫を積み重ねることに汲々としていて、なかなか新しいモノを作る余裕がなかったのだ。以前は展示会毎に作るものに変化を加えてものを持って行っていたのだが、最近の工房は生産力がまだ不完全で、新しい作品を体系的に持っていく力が伴わなかったのだと思う。問題が発生した時や、迷いが出た時には、過去のことを思い出して、上手くいった時のことを検証した方が良いと言われるが、今回の福岡展は・・・新しい作品をしっかり作って、持って行くという方針で臨みたいと考えている。 


仕事日記 2011年1月8日

今週は週末も仕事をすることにした。15日からの福岡での合同展に新しい作品を持って行きたいからだ。年末年始の休みで仕事が停滞していたので、その分を今週末の仕事で補えればいいと考えている。今年から毎朝ミーティングをして何を作るのかを指示しているが、そのこと自体は仕事の効率を高めていると思う。全体の目標が決まっていれば、個人の目標も自ずから決まってくるし、個人の仕事が確実に出来上がっていれば、全体の仕事も進めやすくなる。工房のみんなが情報を共有することによって、作業の見通しが良くなることも大きいと思う。朝の仕事の進捗状況がまちまちなのが悩みの種だが、出来るだけ同じ時間に雑用を終わらせることが出来きるように、朝のローテーションを考える必要があるのかも知れない。

今年は天草も普段の年寄寒い。天気が今一つ優れないのでそう感じるのか、それとも、本当に寒いのかは判らないが、工房の内と外ではかなりの温度差があり、外に出るとぶるっと震えるくらいに冷たい。工房の中は温度管理が出来ているので、暖かいのだけれど・・・やはり陶芸という仕事は冬のものではないと思う。もっとも冬にしっかりと作品を仕込んでおかないと、春先から初夏に懸けてのはいシーズンに乗り遅れることになり、乗り遅れないためにも寒い時期から作品を作り貯めておく必要がある。

しかし、若いスタッフの成長は目覚ましい。この前までは覚束なかった仕事の段取りが、とても早くなっていたり、作品を作る速度が格段に向上していたりと、驚くほどの成長が観られる。結局、次男1人抜けることによって全体に危機感が出てきて、何をしなければならないのかが明確になってきているのだろう。勿論、まだ完全というわけではなく・・・これから先の指導がとても重要になってくると思うのだが、それにしてもこれだけの力があったのかと思うほどにみんなが福岡の展示会に向けて一丸となって仕事を進めている。私の工房は陶磁器の製造販売が仕事だが、初めの一歩はやはり製造業と言うことだ。そう言う意味ではしっかりと製造の仕事が出来るようになることがとても大切なことだと改めて確信している。
もっとも、販売についても今年の課題はハッキリしている。天草以外での販売を増やしていくことが今年最大の課題だ。昨年は天草以外での販売に舵を切った歳だったが、今年は天草以外での販売を更に高めて行く年だと私は考えている。そのために最も重要な要素は、余所に作品をもって行った場合の対外的な競争力だ。今年は一つ一つの展示会にしっかりとした目標と・・・持って行く作品の方向性を考えること、この二つを保ちながら外にモノを持っていきたいと思う。正月早々の仕事が大車輪のような展開になっている原因は、福岡の初めの展示会で意図を持った出展をしたいからで・・・狙い通りの仕事が出来るように、考えながら仕事をしているのだ。結果を楽しみたいと思っている。 

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