10月24日日曜日
福岡県田川市にある、初代市長林田春次郎の自邸であり迎賓館であった建物は
現在「料亭 あをぎり」として様々な方をおもてなしし、田川の文化を発信されています。
この秋、藤原先生方とのご協力で、秋文化庁の登録有形文化財に申請されました。
文化財認定にむけて、あをぎりでは秋の講演三部作を開催されています。
第一回は写真家で、全国の土壁や石灰、藁塚、人々の暮らしに潜む「世間遺産」をテーマに活躍されていらっしゃる、
藤田洋三先生のご講演でした。20代から写真を通して見て来られた、
人間の生活空間や素材に対する考察と、今後の関心あるテーマなどをお話されました。
藤田先生は、土壁など日本古来の建築の材料である石灰や顔料、産業発展を支えた石炭、
人間の生活に使われた陶器のもとである陶石など、素材や素粒子から、
その土地に根付く文化や人間の営み、流れなどを大きく捉えようとされていました。私にとって印象的だったことは、
「そのようなこれまで人間が培って来た、自然に寄り添ってつくってきた生活・歴史・文化などに
立ち戻る機会や新しく紡ぐきっかけとして写真がある」というようなお言葉でした。
芸術のひとつの在り方を教わったような気がして、深く心に残りました。
講演が終わった後は、発祥の地、直方から来ていただいた人力車を体験できる企画もあり、また茶道、古美術商の阿面先生に立てていただくお茶会などがありました。
そして夜は、藤田洋三先生、田川産業の社長行平信義さん、
建築家で私たちの研究室生でもある中村享一先生の還暦お祝い
「三寅会」が、藤原先生のご企画のもと開かれました。
寅年生まれの御三方の、これまでで一番嬉しかったことや大変だったこと、今後の夢などを語ってきただきました。
それは居合わせた私たちにとって、とても貴重な言葉でした。
ご自身の興味、関心、ポリシーを貫き通して切り開いて来た道、突き詰めてきたものを、
今後どう社会に還元するかを考えて、これからも探求されたいとのお言葉に感動するばかりでした。
またその中で築かれていく人との関わりにもまた、人生の趣深さを感じました。
皆様本当におめでとうございました。
秋の三部作講演会はまだ続きます。
第2回 佐藤慶太郎伝
日本で最初に建設された美術館は、石炭商の佐藤慶太郎でした。講師:斉藤泰嘉氏(筑波大学芸術学系教授)
日時:11月23日(火)
第3回 登録有形文化財について
「登録有形文化財」とは?あをぎりの建築を学術的な目線でご紹介いたします。
講師:藤原惠洋氏(建築史家/九州大学大学院教授)
いずれも
開場:11:30〜あをぎりにて昼食 13:00開演
参加費:3000円(食事込)
となっております。皆様ふるってご参加ください。
(D1 國盛)