建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

73日、4

兵庫県立大学にて行われた文化経済学会2010年度研究大会
(神戸大会)にて発表した自身の内容のご報告をさせていただきます。
私(國盛 D1)は福岡県大牟田市出身で、
2009年に美術大学の修士課程をを卒業しました。
炭坑町出身でしたので、石炭や石炭灰からえのぐを作り、
地域の歴史文化や身近なコミュニティに
想いを深めるきっかけを目標としたワークショップを
2007年より国内外の炭坑町で開催してきました。

今回は、滞在政策やインタビュー、リサーチ活動などといった
活動の紹介とアンケートによる評価、今後の展開を論じました。

タイトルは「市民主体の芸術文化発信による旧産炭地の
矜持再生計画 
ー石炭・石炭灰えのぐ“COAL PAINT”を用いたアートワークショップ評価ー」です。
今後のプロジェクトの展開の方向などを以下の点から論じるものでした。


□産業構造の転換、グローバリゼーションの影響

 閉山し衰退した炭鉱町の地域再生は重要性

 

□炭鉱の歴史的文化の再評価・再検証

 住民の矜持再生を文化的・精神的面から創出

 市民参加型のアートプロジェクト活動を展開

 

□ドイツ、イギリスの炭鉱町の

 芸術文化による地域再生例をモデルに捉え、

 文化政策提言を目指した研究実践

写真や映像などで、活動の様子やこれまでのワークショップの
内容を紹介し、
炭鉱町に共通する問題などを挙げます。
ピクチャ 3


ピクチャ 2


炭鉱町で公共性を持ったアートプロジェクトを展開する意義は、
まちづくりとアートプロジェクトの類似点と、アートならではの可能性から考えます。


例えば、
全国過疎地域自立促進連盟が定める過疎対策には、
財政基盤、インフラ整備、福祉整備の他に、


□集落対策、都市との交流、人材の育成、多様な主体の

  協働による地域社会の活性化など

 

   地域資源を活用した産業の振興と雇用の創出 があります。

現在私が行っているワークショッププロジェクトでは、
雇用などといった規模の展開は不可能ですが、このような目標に
沿って、炭鉱町の人々の、文化的、精神的側面に、
わずかでも作用することができればと思い、継続したいと思っています。

財団法人
東北開発研究センター 大泉 太由子氏によりますと、
まちづくり、地域づくりの基本は、
1 活動のフィールドが生活の場
2 住民主体の自発的行為
3 公益的な目的を持って地域社会の課題解決が行われる
4 活動の手段として地域固有の地域資源をきちんと活用する

ことであって、これらは、コミュニティ・アート
(アートプロジェクトの一種で、運動の過程によって
社会問題の解決が図られる芸術表現活動)と類似しています。

加えて芸術分野の特性である、多様な価値観や
流動性のあるコミュニティの形成が、地域や都市の活性化に
寄与するということで、近年地方地域、過疎地域などで
盛んにアートプロジェクトが展開されていることと思います。

このような近年のアートプロジェクトに加え、
「炭鉱」をテーマに
ネットワーク型のアートプロジェクトを国内外で展開する可能性があると思っています。
ピクチャ 1


ネットワークは、欧州・日本・中国など近隣アジアと組むことを、まず始めに行います。
欧州には、炭鉱町が文化的振興により、地域再生を行っている先例があるので、
日本と比べますと、産炭地の未来の例があると考えます。
一方、現在操業している中国は、日本や欧州が未来の一例になります。

各地がネットワークを持つ形でプロジェクトを行えば、
プロジェクトの成果に還元性や循環が生まれると思います。
一地域の祭事や地域振興として消費されているアート
プロジェクトに、少し疑問やもったいなさを感じていました。
現在アートプロジェクトのネットワークも構築されていますが、
主催者や、地理的なネットワークです。
共通する歴史文化のネットワークを構築することで、
歴史的文化や、地域同士の再検証、再評価などが、より高次にできると考えます。
また炭鉱をテーマにしたプロジェクトは、アート以外の分野も
参与することができると思っています。
(エネルギー問題、人権、福祉の分野など。
負の歴史があったからこそ打ち出せるテーマもあると思います。)

アートのみでまちづくり、ということは難しいかもしれません。
けれど、様々な分野の研究、開発や文化継承が、
炭鉱町の歴史をゆかりに行われるとすれば、新しい形の都市として
存在できるのでは、との考えを発表しました。
このような考えに至ったのは、この研究室に在籍し、
様々な分野でご活躍されている方々や、アートプロジェクトを
実践されている方々と出会えたことがきっかけになりました。
今後とも在籍し、色々な見識を蓄えることができることに喜び、
感謝しながら日々を送りたいです。

また発表後は統計の取り方や、今後の活動の行い方などについて
座長や討論者の方々にご示唆をいただき、充実した大会となりました。


私自身の今後の活動は、
8月に北海道で、炭鉱マンの方々へのインタビューと、
炭鉱遺産をもとにしたまちづくり提案のワークショップへの参加、
ドイツのエムシャーパーク、イギリスのゲーツヘッドの見学、
そして
NPO法人炭鉱の記憶推進事業団のマネジメントセンターでの滞在制作です。


発表しました妄想とも言えます壮大な構想と比べますと、
大変ささやかな活動ではありますが・・・
関わってくださっている方から沢山のご支援をいただき、
私にとっては今一番大切にしたい企画です。
学会の帰り、兵庫→大阪→北海道とリサーチなどを行いましたので、その様子を後日ご報告致します。

(D1 國盛)

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