建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
 モノクロームサーカス主宰の振付家・ダンサー(踊る哲学者と巷間では騒がれている)坂本公成さんは八女市のご出身とのことをゼミで聞きました。

 一方その八女市ですが、本日ようやく八女市は数多くの周辺町村との合併を行ないました。
矢部川に恵まれた農村部や在方町の歴史的風土的人脈的な魅力に加え、連なる山稜の潤沢な文化資源を得たエコロジカルシティに育まれていくことでしょう。その現代の八女を歩きながらしたためられた風土・手仕事・思索のエッセイ集とも言える松田久彦翁の『八女を歩く』をふ印ラボ先生は重要なお仲間や同人の方々に推奨されていたようです。
 そのうえで、八女市出身の坂本公成さんにも練習を見学しに行かれた際、この書籍を贈呈されたとのこと。そこで八女の司馬遼太郎とも言える松田さんの御本を巡り坂本公成さんとふ印ラボ先生のあいだでじいんとするような素敵な往復書簡が交わされていたとのこと。ご本人たちの了解は事後承諾ということでお許しいただき、こっそり覗かせてもらいましょう。
●坂本公成さん→ふ印ラボ先生 

 今日わざわざお越し頂きありがとうございました。
『旅の道連れ~博多編』なんとか成功させたいと思います。あらためてよろしくお願い致します。

 先程まで松田久彦さんの『八女を歩く』を読むともなく眺めて、巻頭から暫く続く絵画が、
うちのおふくろが拙く描いても、坂本繁二郎さんが描いても否応無く伝わってくる
八女の空気を久しぶりに感じて、少し涙してしまいました。

 八女在住の頃の我が家には、坂本繁二郎さんの「版画」5点が掲げられていました。

京都市近代美術館にも確か「八女の月」だったか、八女でしかみられないようなおぼろなあわい、しかしふくよかなタッチで描かれた絵が常設されていて、白髪一雄のもう油ぐわ~みたいな絵画を同時代に過ごしながら、八女や筑後の風景にこだわって己の絵画の道を究めようとした繁二郎さんは、郷里のモダニストとして凄かったのかなあ~と思います。
ともあれ、祖母も母も好きな画家さんで、そんな風韻を松田本「八女を歩く」に感じました。

 高校時代までは、GWになると茶摘みをしていたことや、丘陵沿いにひっそり佇んでいる、
古墳めぐりをして(巨石のものが多いんですね)、薮の中の石室に忍び入ったりしていたことを思い出しました。

 絵を提供されている方のひとり、大隈長生さんは私の中学時代の美術の先生かもしれません。年の隔たりを考えるとありえないような気もしますが。

坂本公成 1月8日



●ふ印ラボ先生→坂本公成さん

松田久彦『八女を歩く』を喜んでいただき光栄です。ぜひとも松田さんにも伝えておきます。松田さんたちのお仲間のお一人、大隈先生はきっと坂本さんの美術先生だったのではありますまいか。

また御仕事の合間に時間があったら、私がお誘いしますので八女を周遊しませんか?お仲間のみなさんも御一緒に行くことができませんか?

私のおすすめは以下のような場所と八女人との出逢いです。

八女市内「朝日屋酒店」へ行って『繁枡(しげます)』の新酒を試飲、若きオーナー高橋康太郎(こうたろう)氏と交流交歓したいですね。康太郎さんは、坂本さんの弟さんの同級生のようです。神童だった、陸上部で走っていた、一途だった、と八女時代のあなたのことを、ほんとによくご存知なのです。

さらには八女市の中心地の文化庁認定重要歴史的建造物群指定地区の要とも言える南薩摩屋高橋宏家へ行って、白壁の町並みを生かした「八女ふるさと塾」の取り組みを取材しませんか。なんと高橋先生は内科医・柳病院副院長でもあるので、八女の長寿や人生観、幸福観を論じ合うのも一興ですね。

それからもうお一人、八女市の建築家、中島孝行アトリエ(建築設計事務所)に行って、白壁の町並み整備に投影されてきた職人気質や八女ならではの手仕事やものづくりに映し出されてきた「身体」を論じ合うのもたいせつなことだと思います。きっと坂本さんなら、このからだの見方や洞察がなみなみならぬものと期待します。

いよいよ八女市横町町家交流館に行けば、そこに破顔一笑の86歳翁の松田久彦さんがおいでになるはず。せひともこの著者と出会っていただきたいのです。御健康・御長寿ではありますが、その秘訣もさることながら、今でも自転車を駆って手仕事・職人工房の現場を巡るその気力と生きる秘訣を学ばせていただきたいのです。むろん一献も重要なエネルギー源と承知しておりますので、松田さんとともに『繁枡』を交わせたら最高です。

さらには山頭火よろしく奥山へ分け入り、黒木町笠原霊厳寺対岸へ行きましょう。ここには現代の山頭火とも言える詩人で木工家の西岡泰心さんが隠棲しておられます。その徹底した仕事っぷりを観照しつつ、西岡さんの偉丈夫なからだを見つめてもらいたいのです。(私は西岡さんとは、一緒に福岡市天神の福岡市文学館の空間デザインを担当たことがあります。この文学館のインテリアも文学館とは何か、を考える上でけっこう意味深い仕事としたつもりです。機会があればまたご案内します。)

そして仕上げには、星野村本星野へ行き、西岡さんの詩作の先達でもある詩人・陶芸家の山本源太さんの仕事っぷりを観照致しましょう。源太さんは詩人として福岡県文化賞を受賞された方でもあります。

こう考えますと、八女には手仕事とそれらを生み出すからだがしっかりと刻まれながら残されています。坂本さんの出自にこうした八女の風土や風景が作用していることを願わないではいられません。

 それだけに、今回の『旅の道連れ』の仕上がりを期待してやみません。私は仲間たちと1月24日(日)の公演を拝見するつもりです。

旅先より。藍蟹堂拝



●坂本公正さん→ふ印ラボ先生

藤原先生

 先日は本当にお忙しい中、ご来場ありがとうございました。

福岡の皆様の暖かい声援の中で無事公演終える事ができほっとしております。
暖かいおこころざしありがとうございました。

 八女周遊へのお誘いもありがとうございます。いつかぜひご一緒させて下さい。
自分だけでは見えてなかった故郷像が見えてくるようなワクワク感を感じます。

 星野村には昔、ウィーンとかヨーロッパへわざわざ製作指導に行ったりするくらいの腕の「ギター」職人さんのアトリエを訪ねたことがあります。

京都近代美術館のコレクションには、郷里の坂本繁二郎さんの「八女の月」という作品が常設されていて、なぜかそのことも想い出しました。
祖母と母が繁二郎さん好きで版画が今の実家にかけてあります。

 これから、3月末に向けて「オーケストラで踊ろう!」可児市文化創造センターで、「シベリウス交響曲第2番」を生オケで、可児、大垣の市民200名に振付けます。館長の衛紀生さんの大人の仕事振りを見せつけられています。
<http://www.kpac.or.jp/welcome/index.html>

 そして、夏は、「瀬戸内国際芸術祭2010」で直島でダンスプロジェクトを展開する予定です。
<http://setouchi-artfest.jp/>


 最後に、ごくごくシンプルな欲求ですが、今後、建築を学ぶ学生さん達と「バウハウス」じゃないですが、身体を軸に何かできたらなあとも考えています。機会があれば幸いです。

 拝

坂本公成

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