鳥取県景観まちづくり課が主催したフォーラム「鳥取の鏝絵(こてえ)・なまこ壁~地域資産を生かしたまちづくり~」が11月8日(日)12時半~17時に開催されました。
会場 鳥取県琴浦町赤碕地域コミュニティセンター
会場には250名ほどのお客様が結集しました。現職の左官さん、大工さん、行政関係者、研究者等多士済々。『左官教室』編集長の小林澄夫さんの顔も見えました。
主催者挨拶 平井鳥取県知事がみずから地域資産としてのなまこ壁の再評価がたいせつである旨を御示唆されました。同地方では、鏝絵となまこ壁は主として蔵などの外壁に使われることが多いが、本来は防火・防水のために施されたもの。そこに所有者の意識が反映され、緻密な意匠性や装飾性が加わっているものが数多く残されている。鳥取県のものは瓦を下地とせず、黒漆喰壁のうえに直接なまこが装飾的に配されたものが多く、意匠性・芸術性を際立たせたものと見ることができる。近年大きな注目を集めるようになっている。このように県知事の挨拶とは思えない詳細な知見を提示されたことに会場の観衆は強い印象を覚えたようです。
前座 淀江さんこ節保存会による民俗芸能「壁塗りさんこ節」の実演
約300年前の江戸時代元禄年間から続く郷土民謡「淀江のさんこ節」のひとつ。早いリズムのお囃子と唄に合わせ左官があっという間に土壁を塗りあげていく様子をユーモラスに踊ったものが「壁塗りさんこ節」。会場の参加者はこの前座に盛り上がりました。
(2)基調講演 「左官の手技“なまこ壁”」
講師 藤森照信東京大学教授
あらためて人間にとって究極の建築材料は何か、これまで木だと思っていたが、鉄やコンクリートでは重いすぎ、あらためて道具を必要とせず、黙々と土いじりが楽しめ、とどのつまり高度な技術がいらない土ではないかと思うようになった、と建築を構築する基調として土への関心を強く示していました。左官仕事の中で鏝絵はいわば建物の入れ墨のようなものだが、「なまこ壁」はお化粧だ、と看破されました。
(3)調査報告 「鳥取のなまこ壁と鏝絵、左官の来歴」報告者
鳥取県景観まちづくり課の宮本さんが熱心な調査研究活動の概況をご報告されました。
(4)パネルディスカッション―琴浦町における「鏝絵・なまこ壁」を生かした観光まちづくり―
◎パネラー
藤森照信氏(東京大学教授)
藤田洋三氏(写真家、豊の国生活文化研究所所長、世間遺産伝道師)
岩佐吉郎氏(財団法人日本交通公社研究主幹)
倉長正徳氏(琴浦町観光ガイドの会会長)
◎司会進行 木谷清人氏(財団法人鳥取民芸美術館常務理事)
パネルデスカッッションでは観光のまちづくりをテーマに意見交換が行なわれました。
藤田洋三さんは、ようやくなまこ壁に光が当てられるようになってきたが、鳥取にはもっと数多くの宝物が眠っている事も事実で、より総合的・包括的に世間遺産を見つめて欲しい、そこから自分たちの自尊心を取り戻していくべきだ、としきりにいつものペースで挑発をしていました。
日本交通公社の岩佐吉郎・研究主幹は「観光は光を見せること。落ちるお金のことばかり考えて観光客を呼ぼうとすると結局来なくなってしまう。むしろ、そこに住んでいる人たちが自分で気に入るようないいまちにしておくことが大切。地域の宝物を再発見していけば、キラリと光る、光り輝くものがたくさんあるのでは。食の時代でもあるので、おいしいまちをつくることが大切ですね」
(5)琴浦町光(みつ)集落のまち歩き
清楚なまちは41戸と人口も限られているものの、鏝絵やなまこ壁が数多く残されており、集落全体が宝庫と言えるような空間でした。
会場には250名ほどのお客様が結集しました。現職の左官さん、大工さん、行政関係者、研究者等多士済々。『左官教室』編集長の小林澄夫さんの顔も見えました。
主催者挨拶 平井鳥取県知事がみずから地域資産としてのなまこ壁の再評価がたいせつである旨を御示唆されました。同地方では、鏝絵となまこ壁は主として蔵などの外壁に使われることが多いが、本来は防火・防水のために施されたもの。そこに所有者の意識が反映され、緻密な意匠性や装飾性が加わっているものが数多く残されている。鳥取県のものは瓦を下地とせず、黒漆喰壁のうえに直接なまこが装飾的に配されたものが多く、意匠性・芸術性を際立たせたものと見ることができる。近年大きな注目を集めるようになっている。このように県知事の挨拶とは思えない詳細な知見を提示されたことに会場の観衆は強い印象を覚えたようです。
前座 淀江さんこ節保存会による民俗芸能「壁塗りさんこ節」の実演
約300年前の江戸時代元禄年間から続く郷土民謡「淀江のさんこ節」のひとつ。早いリズムのお囃子と唄に合わせ左官があっという間に土壁を塗りあげていく様子をユーモラスに踊ったものが「壁塗りさんこ節」。会場の参加者はこの前座に盛り上がりました。
(2)基調講演 「左官の手技“なまこ壁”」
講師 藤森照信東京大学教授
あらためて人間にとって究極の建築材料は何か、これまで木だと思っていたが、鉄やコンクリートでは重いすぎ、あらためて道具を必要とせず、黙々と土いじりが楽しめ、とどのつまり高度な技術がいらない土ではないかと思うようになった、と建築を構築する基調として土への関心を強く示していました。左官仕事の中で鏝絵はいわば建物の入れ墨のようなものだが、「なまこ壁」はお化粧だ、と看破されました。
(3)調査報告 「鳥取のなまこ壁と鏝絵、左官の来歴」報告者
鳥取県景観まちづくり課の宮本さんが熱心な調査研究活動の概況をご報告されました。
(4)パネルディスカッション―琴浦町における「鏝絵・なまこ壁」を生かした観光まちづくり―
◎パネラー
藤森照信氏(東京大学教授)
藤田洋三氏(写真家、豊の国生活文化研究所所長、世間遺産伝道師)
岩佐吉郎氏(財団法人日本交通公社研究主幹)
倉長正徳氏(琴浦町観光ガイドの会会長)
◎司会進行 木谷清人氏(財団法人鳥取民芸美術館常務理事)
パネルデスカッッションでは観光のまちづくりをテーマに意見交換が行なわれました。
藤田洋三さんは、ようやくなまこ壁に光が当てられるようになってきたが、鳥取にはもっと数多くの宝物が眠っている事も事実で、より総合的・包括的に世間遺産を見つめて欲しい、そこから自分たちの自尊心を取り戻していくべきだ、としきりにいつものペースで挑発をしていました。
日本交通公社の岩佐吉郎・研究主幹は「観光は光を見せること。落ちるお金のことばかり考えて観光客を呼ぼうとすると結局来なくなってしまう。むしろ、そこに住んでいる人たちが自分で気に入るようないいまちにしておくことが大切。地域の宝物を再発見していけば、キラリと光る、光り輝くものがたくさんあるのでは。食の時代でもあるので、おいしいまちをつくることが大切ですね」
(5)琴浦町光(みつ)集落のまち歩き
清楚なまちは41戸と人口も限られているものの、鏝絵やなまこ壁が数多く残されており、集落全体が宝庫と言えるような空間でした。